キーピッチは横17mm、縦15.5mmで、スイッチはパンタグラフを採用しています。横17mmというキーピッチは、12インチクラスのノートパソコンにありがちな幅で、デスクトップで使用する19mmのフルピッチと比べると、やや小さめ。キー配列は、もちろん日本語対応で標準的なJIS配列となっております。配列で気になったポイントは2点。
DM200ではF1キーの左側に配置されていた[全角/半角]キーが、数字の[1]キーの左側に変更されました。一般的なPCのキーボードと同じ位置になったというワケで、普段ノートPCを使っている筆者としては、これは高評価のポイントです!
次に、電源ボタンの位置。DM30では、右上のカドに、他のキーと同化する形で電源ボタンが鎮座しておられます。この位置では、[Delete]や[BackSpace]など、比較的多用するキーをミスタイプしようものなら、確認ダイアログのワンチャンすら与えてもらえず、シャットダウンしまうという憂き目にあいそう。でも、安心して下さい。起動中に突然電源ボタンを押した場合でも、編集中のテキストは保持されていますし、再起動もそれなりに速いので、失うものは起動までの数秒と、再度電源ボタンを押す手間だけです。
さて、気になる打鍵感ですが、パンタグラフの浅いストロークに、ほどよいクリック感のある理想的な打ち心地。ただ、やはり縦のピッチが短いので、ノートPCと同じ調子でタッチタイピングしていると、ミスタイプすることもあります。この部分だけは慣れが必要かと思います。
ヘビーユーザーにうれしい乾電池バッテリ
筆者の同業者にも熱烈なポメラ愛用者が何人かいます。しかし、2016年に発売されたDM200を使っている人は少なく、その理由を数人に聞いたところ、皆さん一様に「ポメラは乾電池じゃないと……」とのことでした。
DM200は、本体にリチウムイオン電池を内蔵しており、スマホやタブレットと同様にmicroUSBケーブルで充電するタイプ。それが新型を使わない理由とのことで、いつでもどこでも乾電池さえ入れ替えれば延々使用できる安心感がポメラの良いところの1つなのでした。
今回のDM30は、単3形乾電池2本で駆動。まさに、ヘビーユーザーの声を反映した最新型と言えます。
ディスプレイはシリーズ初のE-Inkに
E-Inkとは、磁界を発生させてプラスとマイナスで顔料を操作し、色を表現する技術。液晶画面のようにバックライトを必要とせず、外光を反射することで画面表示が可能となります。DM30は、ポメラシリーズ初となるE-Inkパネルを採用し、低消費電力に加え、長時間の作業でも目が疲れないのが特徴となっています。
たしかに「電子ペーパー」と言われるだけあって、紙の風合いを漂わせる、白と黒がハッキリとした画面表示。暗いところ以外では何の不満もない画面です。特に筆者のように、常時バックライト輝度MAXで作業するような人にとっては、目の疲れ方がかなり違ってきそうです。ちなみに、入力した文字の反映速度は、液晶&バックライトを載せたDM100やDM200よりやや遅めの印象で、これもE-Inkならではといえそうです。
残念ながらネットワーク機能はナシ
筆者的にこれが最も残念なポイント。ポメラはテキスト入力に特化したデバイスというコンセプトです。ヘタに通信機能が搭載されていると、筆者のようにWebブラウジングやアプリで遊んでしまい、作業が捗らない人も多いはず。その点、テキスト入力「しか」できないポメラであれば、作業するしかなくなるので、否応にも捗ります。
DM30には、Wi-FiやBluetoothといったワイヤレス通信機能を一切搭載していません。作成したメモやテキストをクラウドにアップロードしたり、メールなどで送信するには、QRコードにしてスマホで読み取るか、USBケーブルを接続するか、Flash AirのようなWi-Fi機能付きSDカードを使用するといった、一手間を要します。
ライターという職業柄、ポメラで作成した原稿をネットワーク経由で送信できないのはかなりの痛手。せめて、OneDrive内にある「.txt」ファイルだけでも自動で同期できれば、常時愛用できる一筆入魂マッシーンになりえたかもしれません。
でも、そういった頑ななコンセプトを貫くのがポメラシリーズの良いところかもしれませんね。ちなみにマイナビニュース編集部のポメラ愛用者は、「別にネットワークいらなくない? 通信したい時はPCを使えばいいし、メモ書きだけしたい時にポメラを使うわけであって」と言ってました。ヘビーユーザーの熱烈な支持を受ける理由がわかった気がします。