最後に、画質を比較してみましょう。以下の写真は、同じEFレンズ「EF50mm F1.8 STM」を使用し、絞り値やホワイトバランスなどの設定をそろえたうえで、感度を変えながら撮影したものです(EOS Kiss Mではマウントアダプター「EF-EOS M」を併用)。
結果は、発色や階調表現、解像感に大きな差はなく、ほぼ同じと考えていいでしょう。画像を100%表示にして見ると、EOS Kiss Mのほうが細部のシャープネスがやや高くなっていることがわかりますが、これは選択したピクチャースタイル「スタンダード」に関して、シャープネス「強さ」の初期設定パラメーターがやや高めに変更されているためです。
高感度ノイズに関しては、わずかな差ですがEOS Kiss Mのほうが少なめです。特に、中間調からシャドウ部にかけてのグラデーション部分を見ると、輝度ノイズが低減していることがわかります。
トータルでは、やはりボディのサイズと重量、撮影機能が違いの大きいといえます。グリップ感ではEOS Kiss X9が勝るとはいえ、気軽なスナップ用という目的では、やはりカメラは小さくて軽いほど便利だと感じました。EOS Kiss Mの携帯性のよさは、それだけで十分に正義です。加えて、ワンランク上の撮影にも対応した機能充実という面でもEOS Kiss Mに軍配が上がります。
ただ、個人的な結論としては、今回の買い替えは見送ることにしました。理由は「光学ファインダーでの撮影が好き」という、その1点に尽きます。あくまでも優劣ではなく、感覚的な理由です。そもそも、光学ファインダーを備えたカメラに慣れ親しんだ旧世代の人間だからかもしれません。
EOS Kiss Mの広告やCMを見るたびに、進化した部分の多さをうらやましく感じる気持ちはしばらく続きそうですが、いくぶん低機能でも光学ファインダーを備えたEOS Kiss X9をまだまだ使い込んでみようと思います。