こうした啓発活動に賛同する企業・団体も増えている。
たとえば日本コカ・コーラ「アクエリアス」、森永製菓「ICEBOX」および「森永甘酒」、石垣食品「フジミネラル麦茶」、エフティ資生堂「エージーデオ24」および「シーブリーズ」など、15企業・17商品ブランドがオフィシャルパートナーになっている。
また一般財団法人 公園協会、ホテル椿山荘東京、ロフト、公益財団法人 日本テニス協会、公益社団法人 日本ボート協会、公益社団法人 日本ゲートボール連合などが協力事業者になっている。特にスポーツ系の協会による啓発は欠かせない。夏の運動で熱中症にならないよう、広く競技者に知ってもらう必要があるからだ。また43の自治体も協力する。
一方、オフィシャルパートナーはもっと裾野を広げるべきだと思う。現在の17商品ブランドは、どれも熱中症予防に有効な商品ばかり。商品ブランドだけでなく、熱中症予防にさまざまなカタチで関わる企業にもパートナーになってもらうべきだ。
たとえばデベロッパー。森ビルが開発した六本木ヒルズは、毛利庭園や66プラザ・エリアといった緑化した場所を併設している。平成16年に国土交通省がサーモグラフィを使って調査したところ、アスファルト舗装が約45度だったのに対し、毛利庭園エリアでは約30度、つまり15度もの差が生じた。また、六本木ヒルズでは、ミスト散布という施策も採っている。
現在、東京は空前の再開発ラッシュだ。メガオフィスや高層レジデンスは、緑地が併設されることが多い。ヒートアイランド現象の低減に少しでも配慮してほしい。
「熱中症ゼロへ」は長い道のりだが有意義な活動
さて、熱中症による死者数は、数百から多い年では1,000名を超える。これをゼロにする道のりは長い。とにかく啓発活動を行い、熱中症予防の正しい知識を広めるのが先決なのだろう。日本気象協会では6回目の施策になるが、その手応えについて曽根氏にたずねると、「熱中症という言葉が広まり、メディアにも取り上げられることが多くなった」と話す。
余談だが、発表会が行われた5月8日は、3月下旬並みに気温が下がった。例年ならばゴールデンウィーク以降は初夏を思わせる陽気になることが多い。その方が、発表会に参加したメディアも実感がわいただろう。古市氏が冒頭で話した「自然は人間がコントロール」できないという言葉に、確かに……とうなずきながら低い気温のなか、駅まで向かった。