短期的には減収も長期的にはプラ転か
ドコモが新料金プランを「利用が少ない人向け」と位置付けている。実際、利用が少ない人はサブブランドやMVNOに流出する傾向にあったという。総務省の検討会においても、「利用量に応じた料金体系」は求められてきた。
具体的な消費者への還元額はどれくらいなのか。ドコモによれば300億円程度の減収影響があるという。だが、新料金プランが好感され契約が増えること、データ利用量が増えることなどを理由に、長期的にはプラスに転じることを見込んでいるという。
新料金プランで契約は増えるのか。この点では、最近増えているといわれるMVNOからの「出戻り」に注目したい。格安スマホの波に乗り、リテラシーの高いユーザーがMVNOに移ったものの、通信速度などに不満を覚えているという。こうした需要は低価格で高速なサブブランドが拾ってきたが、ドコモに戻る人が増えるかもしれない。
データ利用量はどう変わるだろうか。これまでの容量別プランでは、契約したデータ量を使い切ると低速に落とされ、有料で容量を購入するか、翌月まで我慢するかを迫られていた。
だが4段階制の新料金プランは、容量が足りなくなると自動で追加購入していくプランともいえるため、データを使いがちになりそうだ。料金設定も絶妙で、最高となる4段階目の料金は大容量プランよりも高い。どうせ多く使うのなら、最初から大容量プランを契約した方が安いと思わせる設定というわけだ。
このようにドコモは、利用の少ない人や総務省からの指摘にも応えつつ、長期的には減収をしっかりカバーできる仕掛けも盛り込むという、全方位に対して隙のない料金プランを出してきたといえる。