企業が大きくなればなるほど、顧客や地域、従業員といった存在に社会的利益を還元しなくてはならない。そうした活動をCSR(Corporate Social Responsibility)と呼び、多くの企業が取り組んでいる。

近年は、社会的価値共有を実現するCSV(Creating Shared Value)を採り入れる企業が増えたが、これは企業の利益と社会貢献を両立するもの。自社の強みを生かしながら社会貢献をするというものだ。その意味で、純粋に社会貢献を目指すCSRとは別物といえる。

さて、このCSRで一風変わった活動を行っている企業がある。ドラッグストアチェーン最大手のマツモトキヨシだ。

実はマツモトキヨシは、創業86年の長い歴史を誇る。千葉県・松戸市に松本清により創業され、以来業績を拡大させ、現在は700を超える店舗数となった。

そのマツモトキヨシが行っているCSR活動はセルフメディケーションフォーラムというもので、4月に行われたフォーラムで25回目となる。セルフメディケーションとは、疾病したりケガをしたりした際に自分で服薬や薬の塗布を行うことだが、健康維持のために薬品を用いることも含まれる。

マツモトキヨシが推すセルフメディケーション

マツモトキヨシは特に健康維持の面でセルフメディケーションの訴求を行っている。ドラッグストアといえば、風邪を引いたときに感冒薬を購入したり、ケガをしたときに消毒薬を買ったりするイメージが強い。だが、日常で利用してもらうため、イメージ転換を図るドラッグストアがほとんどになった。その最大の成功例がマツモトキヨシといえよう。

同社が行ったCSRは「美と健康のエキスパートから学ぶ 今日から始めるワタシ磨き」というもの。自分の健康は自分で守るという、セルフメディケーションについて啓蒙活動を行うのがマツモトキヨシのねらいだ。

マツモトキヨシホールディングス 常務取締役 松本貴志氏

もちろん、単純に啓蒙活動しているわけではないだろう。セルフメディケーションが広まれば、健康維持のためにドラッグストアを利用する機会が増える。栄養剤や化粧品といった日常で使う製品を購入してもらうという意図もありそうだ。

さて、セルフメディケーションの様子をみてみよう。まず登壇したのはマツモトキヨシホールディングス 常務取締役 松本貴志氏。店頭で猿を飼っていたこと、アメ横に東京進出したことなど、同社の歴史を語った。