街を歩いていると多くのミニバンを見かけるが、一目で車名が分かるクルマといえば三菱自動車工業の「デリカ」だ。現行「デリカ D:5」も含め独特の立ち位置を占めるミニバンで、視界の広さや走破性など、SUVで語られるような強みを取り入れたミニバンであることは、その姿かたちが物語っている。
50年の歴史を経た「デリカ」は今年、6代目へのフルモデルチェンジを控える。次のモデルでは独自路線を堅持するのか、ミニバンのトレンドを取り入れたイメージチェンジを図るのか。商品企画の担当者に聞いてみた。
走りにこだわるミニバンの歴史
「デリカ」は1968年にトラックとして生まれたクルマで、「デリバリーカー」から名づけられた車名の通り、高度経済成長期の物流に力を発揮した。そのトラックにバン、コーチが追加となったのが今のデリカにつながる流れであり、2代目の「デリカ スターワゴン」からワンボックス乗用車としての歩みをスタートさせた。
1979年に発売となった2代目「スターワゴン」は、1982年にワンボックスワゴンとして日本で初めて四輪駆動を採用した。当時はアウトドアブームの夜明け前といったような時期であり、その潮流を捉えたSUV「パジェロ」と共に、スターワゴンの4WDは順調に販売台数を伸ばしたという。また、4WDによる走行性能、特にオフロード性能の追求は、その後のデリカでも伝統となっている。
3代目「スターワゴン」、4代目「スペースギア」を経たデリカは現在、5代目「D:5」の誕生から10年強が経過したところ。今年は久々のフルモデルチェンジを予定する。
今でも月間1,000台強がコンスタントに売れるというデリカには、次期モデルの方向性が気になっている固有ファンも多そう。今回の説明会では、「D:5」のチーフプロダクトスペシャリスト(商品企画担当)で次期デリカも担当するという大谷洋二氏に話を聞くことができたので、そのあたりについても質問してみた。