iPhone独自の課題も技術開発でクリア

これまでの子ども向けスマホとはどう違うのか。他の事業者も見守り機能は提供しているものの、自由に使いたい子どもはすぐに回避策を見つけ、無効化してしまうという。iPhone用に見守りアプリを提供しても、アプリを削除されるとそれまでだ。

そこでトーンモバイルはiPhone用アプリと、SIMカード、交換機を連動させ、子どもがアプリを削除するとSIMの通信を止める機能を開発したという。iOSの仕様を変えることはできないが、SIMと交換機はトーンモバイル側で制御できるというわけだ。

  • SIMと交換機を連動させ、iPhoneでも確実な見守りを実現

iOSには制限もあり、現時点で提供する見守り機能は、TONE独自のAndroid端末ほど詳細で強力なものではない。だが、アプリの利用制限や迷惑電話のブロック、フィルタリングなど需要の高い機能は搭載した。いずれも企業向けのモバイルデバイス管理(MDM)を、家庭向けに応用した形といえる。

iPhoneの端末はどうするのか。ドコモ版以外のiPhoneは、6s以降ならSIMロックの解除により利用できる。家庭に眠る旧型iPhoneは3000万台ともいわれ、子どもによる再利用も期待できる。さらに同じCCCグループのイオシスとも組むことで、TONE SIMの動作を保証した中古iPhoneも購入できるようにするという。

日本で最新のiPhoneを取り扱うのは大手キャリアのみで、型落ち品もサブブランドに限られてきた。だがiPhoneを格安で持ちたいという消費者の要求が高まる中で、MVNO各社は整備品や海外版などあの手この手で模索している。

これに対してトーンモバイルは、iPhoneの端末そのものではなく、シニアや子どもがiPhoneを使うときのSIMに着目したというわけだ。春商戦にやや出遅れる形になったものの、既存のTONEユーザーへの移行プランも提供する。この独自のアプローチで格安iPhone需要を取り込めるかに注目したい。