無理してるのがバレたらダメ

――坂上さんや古舘さんが、“ヤバい”女性たちに振り回されたりやりこめられたりするのが、観ていて楽しいです。

どんな毛色の番組であれ、お仕事のオファーをかけていただいて引き受けたらそこに責任は生じるわけで、「番組のカラーに合わせて協力しなきゃいけない」って脳みそでみんなやってると思うんですけど、この番組にはそういうのが多分ない。始まったときに、「こういう番組で無理してるのがバレたらダメだな」って勝手に思ったんですよ。

もちろん、ジュニアと古舘さんがいるから安心してるせいもあるんですけど、「そんなに盛り上がってないから盛り上げなきゃ」とか「まだ掘れてないから、こういうところからもっと深く」とか、そういう計算がバレるのはよろしくないな、って。だから本当にしゃべってないときは全然しゃべってないですしね。

――ということは、『おしゃべりオジサン』の坂上さんが一番素に近いんでしょうか。

素っていう意味では、どの番組でも素なんですよ。自分が出ている以上、そこに素はあるんです。でも確かに、いちばんリラックスしているのはこの番組だと思います。いちばん甘えているというか。

――坂上さんは2014年頃に再ブレイクしたとき、「毒舌キャラ」といわれることがよくありましたよね。当時から今にいたるまで、バラエティにおける自分の「キャラ」を意識されることはありますか?

ないですね。僕にとって、キャラを演じるっていったら、芝居で散々やってきてますから。バラエティも、100%素なんてことはありえないんですよ。テレビに出る以上は演じる部分が絶対あるんですけど、僕、もう50歳ですから。この歳で自分のキャラがどうだとか計算することの無駄さとみっともなさは、重々知っています。それはもう、観ている方がどうぞお好きなようにとらえてください、と。

自分がブレない環境をつくるのが大事

――世間でご自分がどのように見られているか、ネットニュースなどはご覧にならないんですか?

“エゴサーチ”ってやつですか?

――エゴサまではいかなくとも、例えば坂上さんだと『バイキング』での発言が切り取られてネットニュースになることも多いので、そういうのは読まれないのかな、と。

“エゴサーチ”っていうのをしないだけで、お昼の番組では時事も扱うから一般紙・スポーツ紙に加えてネットニュースも見てますよ。そういうときに自分のも出てきますけど、クリックはしないですね。

――しないと決めていらっしゃる?

こう見えてけっこう傷つきやすいですから、自ら傷つくようなことはしません!

――傷つく前提なんですね(笑)。

「表に出る」って、出た時点ですでに賛否があるわけです。「この人タイプ」とか「生理的に無理」とか、そこからもう始まっている。ネットがこれだけ普及してる中、それはもっと激しくなってると思う。それに対して言葉面で「そういうのは相手にしない」っていう言い方をする人もいれば、きれいごとに聞こえるかもしれませんけど、僕はどっちかっていうと賛も否も、かまっていただいている以上は基本的に全部ありがたいと思って済ますことにしています。でもそこで自分が言われている内容を深く知る労力よりも、自分がブレない環境をつくることのほうが大事だから排除してしまっているというだけです。

――『バイキング』やそういったネットニュースなどのイメージで坂上さんを認識している人が、『おしゃべりオジサン』を観たら印象が変わるかもしれませんね。

観ている方は、出てる人をひとつの番組で判断しても全然かまわなくて、僕らはそれに対してとやかく言う筋合いはないと思うんです。好きに言っていただければいいだけで、僕としては「かまっていただけてありがとうございます」っていうことですね。

『おしゃべりオジサンとヤバイ女』

古舘・坂上・千原というおしゃべり好きの3人が、いい意味で"ヤバイ"女性たちの話を聞いていくトーク番組。きょう28日22時30分からの回では、「ヤバイ女の人生相談」を放送、MC陣に加え最強のアドバイザー軍団が"ヤバイ女"たちを迎え撃つ。

■プロフィール
坂上忍
1967年6月1日生まれ。東京都出身。3歳で劇団若草に所属し、1972年の『下町かあさん』(フジテレビ系)でドラマデビュー。数々のドラマや映画に出演し、"天才子役"として一斉を風靡した。現在は、フジテレビ系『バイキング』をはじめとするバラエティ番組でも活躍。また、子役タレント養成所「アヴァンセ」を立ち上げ、指導も行っている。