タレントの三宅裕司と落語家の春風亭昇太が司会を務めるフジテレビ系音楽バラエティ特番『三宅裕司と春風亭昇太のサンキュー歌謡曲一座~モーレツにハレンチは永久に不滅です編~』が、きょう28日(18:30~21:00 ※一部地域は19:00~)に放送される。
"歌謡曲"というワードを聞くと、NHK? テレ東? はたまたBS?と想像しがちだが、放送するのは紛れもなくフジテレビ。4月スタートの新バラエティのMCが全員50代以上ということで話題を集めたばかりだが、かつて若者に圧倒的な支持を受けてきたフジが、ターゲットを高年齢層にシフトしようとしているのだろうか。演出を手がける佐藤正樹氏に、狙いを聞いた――。
間口の広い音楽が昭和にたくさんあった
この番組は、昭和の歌謡曲にまつわるトークとライブで構成するもので、昨年11月の放送に続き今回が第2弾。"あの時代だからあの名曲が生まれた"をコンセプトに、1960年代から70年代にかけての日本歌謡史をテーマ設定し、それぞれの時代を掘り下げながら、歌謡史に残る名曲を熱唱するだけではなく、本人が裏話も披露していく。
佐藤氏は、同局で『Love music』(毎週日曜24:30~)や、今月9日に放送された『HEY!HEY!NEO!』といった音楽番組でも演出を担当しているが、「15年くらい前までは、"テレビ視聴率"、"レコード・CD売上"、"観客動員数"が三位一体で、それぞれの影響力が比例していたと思うんですが、音楽視聴 のスタイルが大きく変わり、それぞれの影響力も比例しなくなっている」という。
そんな中で、今の若い世代が、いわゆる昭和の歌謡曲を、いつ頃発表されたものか知らず楽曲だけは認識していることが多いことに気付いたという佐藤氏。「特にストリーミングで音楽を聴くのが当たり前の若い世代には、古い楽曲でも、出会った時が、その人にとっての新曲になる。昭和世代が懐かしむだけではなく、若い世代にとっては新鮮な出会い。さまざまな世代に向け間口の広い良質な音楽が、昭和にいっぱいあるじゃないか」と考え、幅広い世代が楽しめる音楽番組として企画されたのが、『サンキュー歌謡曲一座』だ。
若い人が見ても楽しめる番組に
前回(11月12日放送)の手応えを聞くと、まず60代の佐藤氏の親が「久しぶりに最初から最後まで楽しく集中してテレビ番組を見た」と感想を寄せてくれたそうで、「先入観もあって今どきバラエティ番組には入り込めないけど、この番組は"どストライク"だったみたいで。自分と同世代や年上の歌手の元気な姿に喜んでいました」という。当の佐藤氏にとっても「僕が子供の頃にテレビの中にいたスターの方たちと、こんなにたくさんお仕事ができるという不思議な番組」と、ある種の夢見心地だった。
そして、若い世代の反応としては、「ももクロ目当てに見ていたら、お父さんやおばあちゃんが一緒に見て歌ったり笑ったりしてた」「(テレビ朝日で放送される)『シン・ゴジラ』を待っていたけど、こんなに楽しそうにテレビを観ているおばあちゃんは初めてで、チャンネルを変えず最後まで一緒に観た」といった声が、SNSやフジの視聴者モニターから寄せられたという。
この精神は、司会を務める三宅裕司が率いる舞台『熱海五郎一座』の掲げる"安心して楽しめる娯楽"に通じるものだそうで、「高齢層の人たちが絶対楽しめて、若い人たちが見ても何か収穫があったり、面白がってくれたりできるように、世代間を超えてつながっていく番組にしたい」と意欲。第2弾となる今回は、前回に引き続き出演するももいろクローバーZ(佐々木彩夏・百田夏菜子・高城れに)に加え、ANZEN漫才(みやぞん・あらぽん)という若年層の人気者たちも出演する。