●とどまることを知らない、ボルテージの高まり
その熱を引き継いで登場したMay'nは、まさしく"魂"を感じさせるステージを見せてくれた。意外にもリスアニ!LIVE初出場の彼女は、まず「Chase the world」で大歓声を浴びる。スピード感のある曲に乗りつつも溜めも使い、より深みを増した曲へと進化させてきた印象だ。
そしてここから2曲は、近年のフェスでの鉄板曲。「Belief」では冒頭をアカペラにし、歌い上げたところでバンドが加わりパワフルなサウンドへ。全開で歌を響かせたなかでの、サビ最後のロングトーンの力強さと伸びやかさは圧巻だ。そして続く「運命の太陽」では、曲前に練習を行ったコールを中心にさらなる高まりが到来。その他の部分も明るいアグレッシブさを持った楽曲が、自然と観客のテンションを上げていく。
曲明けには「一人ひとりの"あなた"に音楽をぶつける気できました」と宣言し、新曲「You」を初披露。力強さと爽快さを持つ楽曲だが、彼女のアッパーチューンには珍しく、振付がない。その反面、近く遠くへと視線を合わせて歌声により強い想いを乗せていくMay'n。その想いは曲が進むにつれてより激しく彼女から現出し、とてつもなくメンタルを消耗するであろうことが、容易にうかがえる1曲に。
昨今エモいエモいと多用されるが、これこそが本当に"エモーショナル"なものなのだろう、と感じさせるほどにすごみのある姿で、歌い終わった際の表情も単なる達成感だけではなく、様々な感情がないまぜになった生々しいものだった。
そしてギターの音色をバックに『マクロスF』からの10年間を振り返り、大切に歌い続けてきた「ダイアモンド クレバス」へ。観客が作り上げたブルーの宇宙を前に、深さと伸びとパワーとが混ざりあった歌声を響かせるMay'n。10年経っても色褪せるどころかより輝きを増したその歌声をもって大事な1曲を表現し、出番を終えた。
続いて登場したTrySailは、披露した楽曲のカラーが本当に様々で、色とりどりのステージという印象だった。まずはロック色の強い「High Free Spirits」でパワフルなライブを展開。この曲で特に立っていたのが、この曲のセンター・夏川椎菜。ソロでの感情を思い切りぶち込んだボーカルにサビ明けの「ぶどーかーん!」のシャウトなど、随所にアツさを感じさせるパフォーマンスに。
MCを挟んでの「かかわり」はアップテンポな中で3人のダンスの精度の高さが光る曲で、サビのソロでは甘さを持ちつつもまっすぐ飛んでくる麻倉ももの歌声が映える。そこに雨宮 天の涼やかな歌声も合わさったときに改めて感じたのは、やはり3人のボーカルバランスの良さだった。
続く「オリジナル。」は、イントロでのポンポン跳ねながらのスイッチに象徴されるような、鮮やかなフォーメーションチェンジが印象的な1曲に。Dメロでも、サイドステップからソロを次々執る部分でのポジションの移り変わりがスムーズなのだ。そのなかでも、特に大きくキレのある動きで歌声ともども魅せてくれたのは、雨宮だったように思う。
そしてラスト2曲は、楽しく盛り上がっていくナンバーを畳み掛ける。まず披露したのは、新曲「WANTED GIRL」。ストーリーが展開されていくようなAメロの振付や、ひとつずつ切れ目のあるサビ中盤のフレーズでのポーズの切り替えなど、目にも楽しいナンバーに。
リリース前にも関わらず、ふんだんに盛り込まれたコールのポイントでも大きな声が上がって会場のボルテージも高まるなか、地続きで突入したのが3人のラストナンバー「adrenaline!!!」。観客を完全燃焼させにかかってくる。
3人がステージ上を駆け巡ってこの曲を楽しみ尽くせば、その歌声やパフォーマンスとサウンドに乗っかって観客もさらにこの曲をエンジョイ。2サビ明けのコールで会場中が高まれば、大サビに合わせて3人も大きくジャンプ。最後の最後まで思い切りはしゃぎまくって、そのステージを締めくくってくれた。
●7組と8,000人の想いを繋げたトリ・GARNiDELiA
そしていよいよ迎える、この日のトリの出番。「今いちばん、リスアニ!が観ていただきたいアーティスト」と冨田氏のMCに紹介されて送り出されたのは、GARNiDELiAだ。
その言葉に違わぬ強度のあるライブパフォーマンスを繰り広げてくれた彼らは、まずは「SPEED STAR」からステージをスタート。圧倒的なパワフルさを持つボーカルでぐいっと自らのフィールドへと観客を引きずり込むと、引き連れたダンサーとともに視覚面からもアピール。この1曲だけでも、"今いちばん見てほしいアーティスト"との紹介にうなずける。そんなライブパフォーマンスだ。
曲明け、「明日に向かって最高のバトンを引き継げるように!」とVo.メイリアが意気を上げたところで、ライブ初披露となる新曲「Error」へ。フューチャーベースの要素も持ちつつ次第にロック色を増していくこの曲では、2コーラス目ではKey.tokuの先導でクラップが起こり、場内の空気がさらに高まる。
サビのリズムは一筋縄ではいかないものではあるが、メイリアの歌声は、やはり強い。曲ラストのストップモーションから続けて披露された「Désir」は、歌声で聴かせることを重視したナンバー。その魅力にもうすっかり引き込まれた観客は、そのサウンドと歌声が作り上げるワールドに、どっぷり浸っていたように感じられた。
かと思えば、今度は「サビでみんなにも一緒に歌ってほしい!」とメイリアが呼びかけ、「アイコトバ」へ。クラップから幕を開ける明るいポップ寄りのナンバーで、改めてライブという場で直に"GARNiDELiA"というものへの固定観念を打ち砕いてくれたように思う。
まさに歌詞通りに、この曲で武道館銃が繋がると、激しくも涼感を持つテクノロックチューン「Hysteric Bullet」へ。切れ味とパワフルさの両面を持ったダンスも含めて、再びスタイリッシュに見せていく。
そこからラスト2曲の高まりは、尋常ではなかった。「BLAZING」と「ambiguous」の2曲がラストを飾った、と言えば、アニメ音楽ファンであればそのヤバさは容易に感じられることと思う。
「BLAZING」では力強いボーカルはもちろん、サビのジャンプなどでも観客を高めていく。さらに2コーラス目に入るとtokuもショルダーキーボードを提げてステージ前へと繰り出し、ふたり揃って観客をさらに高め、この日のラストナンバーにしてふたりのメジャーデビュー曲「ambiguous」へと繋げる。
アツさと強さを最後まで持ち続けたメイリアのボーカルを受け、観客の熱量も青天井。メイリア自身のテンションも非常に上がっていたようで、間奏のギターソロではギターと背中合わせとなり笑顔を見せる。そして落ちサビ、堂々歌い上げる彼女を照らすのは、赤やオレンジに染まった客席からの光。この輝きこそが、今のふたりが引っ張った観客からの、最大限の賛辞だったのではないだろうか。
最後に「みんな一緒に"ひとつ"になるよ!」と、締めのフレーズになぞらえた言葉からジャンプエンドで曲を閉じると、スタンドを見回しtokuと手をつなぎ一礼。イリアの「また絶対会いましょー!」のシャウトが、この日のステージを締めくくった。
ライブならではの表現の深さや輝きを感じられるアーティストが、特に揃っていた印象を与えたこの日のステージ。生ならではの迫力や空気感が、彼ら・彼女らの魅力をさらに倍増させてくれたように思う。その直接の音楽体験から心を震わせた観客が、ひとりでも多く彼らのワンマンの舞台で、より濃いパフォーマンスに触れてくれたら――そう思わず願ってしまうような、贅沢な一夜だった。
リスアニ!LIVE 2018 SATURDAY STAGE
2018.01.27@日本武道館
【SET LIST】
●ClariS
M1.コネクト
M2.irony
M3.SHIORI
M4.PRIMALove
M5.ヒトリゴト
●早見沙織
M1.夢の果てまで
M2.SIDE SEAT TRAVEL
M3.やさしい希望(Bossa Arr.)
M4.ESCORT
M5.Secret
M6.Jewelry
●CHiCO with HoneyWorks
M1.恋色に咲け
M2.アイのシナリオ
M3.ノスタルジックレインフォール
M4.世界は恋に落ちている
M5.今日もサクラ舞う暁に
M6.プライド革命
●OLDCODEX
M1.Dried UP Youthful Fame
M2.Rage on
M3.WALK
M4.Growth Arrow
M5.Lantana
●May’n
M1.Chase the world
M2.Belief
M3.運命の太陽
M4.You
M5.ダイアモンド クレバス
●TrySail
M1.High Free Spirits
M2.かかわり
M3.オリジナル。
M4.WANTED GIRL
M5.adrenaline!!!
●GARNiDELiA
M1.SPEED STAR
M2.Error
M3.Désir
M4.アイコトバ
M5.Hysteric Bullet
M6.BLAZING
M7.ambiguous