南アルプススパークリングは、さらにこのイメージを加速させている。というのも、アウトドア用具で有名なスノーピークと共同開発されたからだ。飲料メーカーとアウトドアメーカーが共同開発というとなんとも唐突だが、代表取締役社長 山井太氏がサントリーで講演を行ったのが、そもそものきっかけだったという。

サントリー食品インターナショナル 執行役員 ジャパン事業本部 ブランド開発第一事業部長 沖中直人氏

サントリー食品インターナショナル 執行役員 沖中直人氏は、「天然水は人間が作れないもの。20年以上の歳月をかけて自然が生み出す」と前置きした。そして、それをユーザーに届けるのがわれわれの仕事と胸を張った。さらに、現代のストレス社会でバランスを失った方々に、飲料で健康を取り戻していただきたいと続けた。

刺激でリフレッシュを提供

発売された強炭酸の南アルプススパークリングは、ある意味チャレンジだ。これまで、ビジネスパーソンのリフレッシュを考えた飲料は、ある程度の甘味があった。ブラックはのぞき、コーヒーもスポーツ飲料も甘味料が加えられている。糖分は脳の活動の栄養素として、リフレッシュに効果があるのは確かだが、南アルプススパークリングは、強炭酸という刺激をリフレッシュの主体にしている。そこで、アウトドア用具の老舗、スノーピークと組んで、リフレッシュできる飲料を共同開発したのだ。

今回、メッセージも新たに加えられた。それは「山のむこう」というもの。このメッセージに込められているのは「人間性の回復」だという。スノーピークの施策にしばしば取材に訪れたが、人間性の回復という表現はよく聞く。パソコンやスマホといったデバイスに縛られることなく、人間として自然と向き合う、あるいは人と人との交流を楽しむといったことだろう。

沖中氏は、「水は日常で飲むもの、キャンプは非日常。だが、どちらも人間性の回復という意味では同じ方向を向いている。今回、共同でこの商品を開発したのは、そういう背景がある」と語った。

2001年、1,700万ケースだった南アルプスの天然水は、2012年、6,200万ケースとなった。そして昨年は1億800万ケースまで拡大。今回の炭酸水でさらなる飛躍を目指したい考えだ。

  • 左:発売以来、順調に伸ばしている。主力は2リットルといった大容量(グラフ青)だが、小容量(グラフ水色)やフレーバータイプ(グラフ橙)が人気を伸ばしている。右:飲料ブランドトップの他社コーヒーが1億1,300万ケースなので、射程圏内に捉えたといえる