カタログもファッション誌風に
ちょっと視点を変え、機内販売担当者は日々どのような業務を担っているのかをうかがった。JALでは主に、商品企画チームと物流チームの2つに分かれて機内販売の業務を行っている。成田の物流チームは在庫管理を担い、海外製造品や輸入品の管理も含め、飛行機に積むまでのローディングを担当している。一方、関さんが担当している企画チームでは、商品のラインナップやカタログ制作を担う。
2カ月ごとに機内販売の商品が変わるということは、カタログもそのタイミングにあわせて刷新しなければならない。企画チームの業務としては、約半年前から動き始め、取材時の3月には9~10月号として展開する商品の企画や選定を行い、6月からカタログ撮影を経て、8月末にカタログ完成という流れになる。
このカタログだが、ただ商品を陳列したものではなく、例えば、客室乗務員やパイロットのオススメ商品のページや、メイド・イン・ジャパンのページ、スタイリングのページ、ブランドスピリッツを紹介したページなどもあり、ファッション誌感覚で楽しめるようなコンテンツや読み物も盛り込んでいる。国内線のカタログで見開きの目次にデザインを変更したのも、すぐに見たい商品が目に付くようにという工夫だ。
今も昔もブランドコラボ商品は人気
では、どのような商品があるのか。国際線では化粧品が一番よく売れているようだが、国内線はというと、三越伊勢丹とのコラボ商品やル・クルーゼとのコラボ商品など、JALらしさを感じられるデザイン&上質な商品が人気だという。
これらのコラボは過去にもコラボしているが、3~4月号では、三越伊勢丹コラボ商品は「アニバーサリーウォッチセット」(9,000円/JALカード価格8,100円)、ル・クルーゼコラボ商品は「ル・クルーゼ JALオリジナル マグカップ(蓋付き)」(4,000円/JALカード価格3,600円)を展開している。JALのロゴや飛行機がデザインされているなど、細部にこだわりが詰まっているのが特長だ。
おそらくJALでしかやったことがないだろうと思われるレアな商品としては、「ウルトラマン フィギュア JALオリジナルカラー」(1万円)や、「ジャンポールエヴァン ケーキ」(7,000円、事前予約のみ)、そして、「ドラえもんタンブラー」(3,000円)などがある。このドラえもんタンブラーは、ドラえもん特別塗装機を展開していた際の限定商品だ。
ちなみに、過去販売した最高額の商品は「ミキモト パールネックレス」(18万円)とのこと。「世界的に知られる日本ブランドの良さを提供できれば」という想いから、ミキモトの商品は現在も機内販売として展開している。
様々な商品を展開しているものの、賞味期限が短い食品は機内販売としては取り扱っておらず、また、焼酎はあるものの、より厳密な温度管理が求められる日本酒はない。また、おもちゃなどの子ども向け商品は現在は展開していないが、商品展開はニーズを踏まえて柔軟に対応しているようなので、今後、新しく加わることもあるかもしれない。
JALの機内販売商品は全て機内に搭載した上で販売しており、購入したらすぐその場で受け取れる。そのため、フライトによっては売り切れになることも多い。絶対買いたい商品は、往路で購入することをオススメしたい。
ではあるが、「売り切れで買えなかった」という人のために、JALでは後日、ハガキで申し込みができるサービスを国内線で展開している。ハガキは機内で提供しており、送料も無料。元々は搭載がなくて購入できなかったという人のためのサービスだが、「気になる商品があるけどもう少し考えたい」という人は、とりあえずこのハガキをもらっておくといいだろう。
機内販売の売り上げは順調に推移しているとのことだが、JALとしては機内販売において売り上げだけを目的にしていない。購入対象者は全員、"実際にJALをお選びいただいた大切なお客さま"であることを踏まえ、JALブランドを手にとって感じられるもの、JALの企業理念である「お客さまに最高のサービスを提供する」ことを土台とした商品企画を目指しているという。新商品の販売前に、機内販売企画担当者から客室乗務員に商品説明を行っているのもそのためだ。カタログを開いて見てみると、意外な発見もあって機内時間がちょっと楽しくなってくるかも。
※価格は税込