最近ではJALに続いてANAも国内線Wi-Fiサービス無料などと、飛行機の機内で楽しめることが広がっている。機内で飲食ができ、エンタメが楽しめ、そして、買い物もできるというわけだ。各席に用意されている機内販売のカタログを見てみると、機内限定商品などもあり、カタログそのものも雑誌感覚で楽しめるほどの充実ぶりである。
しかし、なぜ飛行機の中で販売をするようになったのだろうか。今回、機内販売の秘密をJALの機内販売商品企画担当にうかがった。
始まりはお酒と煙草
質問に答えてくれたのは、機内販売グループの関宏美さん(2018年3月時点)。関さんは約2年、機内販売グループで業務を担っているが、その前は客室乗員部に所属していたという。機内業務の経験が現在の商品開発に生きているようだ。
まず、そもそもなぜ機内販売というものが始まったのかという疑問だが、そこには飛行機の歴史が関係している。かつて飛行機は高所得者しか乗れない乗り物であり、また、給油のために何度も各地に立ち寄りながらの長時間フライトを余儀なくされていた。諸説あるものの、出国審査後の旅の楽しみとしての免税品販売として、また、船を手本に発展した飛行機が船内でお酒やたばこ等を販売していたことに倣って等、ラグジュアリーなサービスの一環として始まったのではないとされている。
実際、JALも国際線就航当時(昭和29/1954年)のパンフレットに「ご希望のお客様には、お酒と煙草をお取り扱いしています」と記述しているように、国際線では1954年の就航時より機内販売を展開している。当時は機内で喫煙ができたため、煙草を購入して機内で楽しむという人が多かったそうだ。なお、パールや香水などの販売は、1960年頃に開始された。
国内線はというと、平成5(1993)年5月より、3路線を対象にして初の機内販売を開始した。その時は、イタリアのデザイナーによるTシャツ2種類を7月末まで販売していたそうだ。
機内販売限定価格があるわけ
路線にもよるが、国際線では約125商品、国内線では約20商品を常時展開している。特にフライト時間が短い国内線では、パッと目に付いて興味をもってもらえるような商品を意識的にそろえているという。JALでは2カ月ごとに機内販売の商品展開を変えており、特にオリジナル商品は、中にはWEB販売で販売を継続するものもあるが、基本的に機内販売のみでしか購入できない。つまり、気になった時が買い時というわけだ。
実際、どんな人が機内販売を利用しているかというと、JALの場合は40~50代男性がメインの購買層となっている。ならば、男性商材をメインにして商品を取りそろえているのかというと、巻頭には女性商品の紹介があるほか、特に国際線では化粧品の取り扱いが多い傾向がある。海外旅行のお土産や大切な人へのプレゼントに、機内販売が利用されているからだ。
それ以外にも、日本未発売の商品や機内でしか手に入らないJALオリジナル商品、さらに、お値打ち感も魅力な商品を取りそろえている。特に国内線ではほどんどの商品が、何かしらJALオリジナルになっているという。
気になったのはこのお値打ちの理由だ。国際線であれば免税商品だからという理由もあるが、実はそれだけではない。商品そのものは市販されているものとほぼ同じでも、ブランド側が免税販売用に価格を設定した上でデザインしたものもある。もちろん、そのブランドが持つ魅力や味わいはしっかり生かされている。加えて、専用クレジットカードで購入すると割引されるという理由もある。JAL機内販売の商品をJALカードで購入すると10%割引になり、さらにマイルも2倍となる。