夢の中でプレゼンしながら目覚める朝
――どんな勉強してたんですか?
伊藤:ニュースって日々変わるし、何を勉強していいか分からないじゃないですか。山崎は、インターネットで、「ニュースの言葉」を1つずつ見て、それをノートに書き写してるんですよ。
山崎:日々の新聞を読んで自分なりの考えをまとめておくっていうことは、私も分かってはいるんですよ。でも、新聞を読むにあたって私は言葉の意味が分からないものもあるので、まずそれを調べるしかなかったんです。不安で不安でしょうがなくて、一生懸命ノートに書き写しているのを見られて、すごく恥ずかしくて…。
伊藤:「旭日旗」って調べてましたよね。でも、そういうタイプの人間のほうが、僕はいいと思うんですよ。我々の仕事というのは、OAに臨むにあたって隙がないようにしておくべきですからね。
山崎:でも、最初の1週間の朝は、夢か現実か分からない状態で、夢の中でプレゼンしながら目覚めていました。不安すぎて脳が寝てないんですよ! 1週間たってちょっと落ち着きましたけど、最初の1週間は精神的な疲労がすごかったですね。
――おなかのほうはもう大丈夫ですか?
山崎:はい。そっちは『とくダネ!』が決まってから1週間で収まりました(笑)
小倉智昭から「1回思いっきりやってみろ」
――伊藤さんは1週間やってみて、いかがでしたか?
伊藤:まだ小倉さんも気を遣ってくださっていますし、探り探りのところはありますけど、23年の社歴のうち、20年は情報番組ですから、"なじみ感"はありますね。
山崎:スタッフが本当に優しいんですよ! こんなペーペーの私がMCをやるので、もうちょっと厳しい反応かなと思っていたんですけど、私のレベルに合わせてくれて、「山崎さん、一緒に頑張りましょう」って仲間として迎え入れてくれるんです。
伊藤:そこは、20年という『とくダネ!』の番組の歴史が紡いできたスタッフの一体感というのもあるでしょうね。
――山崎さんは前任の梅津弥英子アナから、アドバイスをいただいたりしたんですか?
山崎:生活スタイルが違って、なかなか会う時間がなんです。(『とくダネ!』初代アシスタントの)佐々木恭子さんとは『ワイドナショー』で一緒なので、コメントを求められたときにどうするかという話を聞きました。あと「本番前のMC打ち合わせのときに、ある程度自分の意見を言ったりしておくと、スタジオでも参加できるようになるよ」というアドバイスを(2年目の)海老原(優香アナ)にしているのを、盗み聞きして(笑)
伊藤:悪い女でしょ?(笑)
――伊藤さんは、例えば笠井アナから何かアドバイスみたいなのはあったんですか?
伊藤:具体的にはないですけど、僕と笠井さんのやり方はきっと違うと思うんですよね。スタジオ展開の部分においては、小倉さんにも「1回思いっきりやってみろ。俺がついていく」と言われているので、もちろん齟齬があったらそこは修正していかなくてはいけませんが、今はまず思いっきりやるのみです。小倉さんは相当気を遣ってくださっていると思いますけど、一方である種すごく僕と山崎を認めてくださっているとも感じていますので、それに応えていかなければという思いです。
山崎:伊藤さんが認められているのは分かりますけど、私は自信ないです。一体何を求められているのか…。
『ノンストップ!』で真顔の練習
――『ワイドナショー』で古市憲寿さんに「『とくダネ!』だと"おすまし"してる」と指摘されていましたよね。
山崎:もうちょっと余裕が出てきたら、自分らしさを出したいなとは思ってるんですが…。
――でも、「触らない痴漢」の話題に入るとき、急に小倉さんの耳元にフーっと息を吹きかけたじゃないですか。あれは、山崎さんらしいと思いましたよ(笑)
山崎:スタッフと話し合って、ああいうやり方はどうだろうということでやってみました。小倉さん、ちょっと嫌がってましたよね(笑)
伊藤:あれは面白かったよねえ(笑)。70歳のベテランキャスターが、横からいきなり息を吹きかけられて困惑するなんて、なかなか見られないですよ(笑)。でも、ここで堅いニュースでも自分らしさを出すことができたら、山崎はひと皮もふた皮もむけるチャンスですよね。
山崎:『ノンストップ!』のときに、設楽(統)さんが「『とくダネ!』に行くんだから、山崎さんがヘラヘラしないように、真顔の練習したほうがいいよ」と言って、みんなの前で真顔をしてみたら、全員吹き出しちゃったんですよ。でも、もう真顔は板についてる感じですよね?
伊藤:それくらい誰でもできるわ!
――『ノンストップ!』のみなさん、優しいですね!
山崎:LINEのグループがあるんですけど、「夕貴さんが今日一生懸命プレゼンしてた」「これまでの夕貴さんと違う」って言ってくれて。この後、みんなで飲みに行きます(笑)
※後編に続く