激しい視聴率競争が繰り広げられる朝の情報番組。トップを走るNHK『あさイチ』に、井ノ原快彦&有働由美子の名コンビ卒業という大きな変化が起こる中、20年目に突入したフジテレビ系『とくダネ!』(毎週月~金曜8:00~)に、『みんなのニュース』を担当してきた伊藤利尋アナウンサーと、『めざましテレビ』『ノンストップ!』を担当してきた山崎夕貴アナウンサーという看板アナが加入した。
バラエティ番組の経験も豊富な2人が早速、情報番組に新たな風を吹かせている印象だが、このインタビュー前編では、番組に加わって半月が経過した2人に、どんな心境で臨んでいるのかを聞いた――。
※山崎アナの「崎」は、正しくは「立つ崎」
現場からの誘いがうれしかった
――『とくダネ!』の起用を聞いたときの心境はいかがでしたか?
伊藤:さまざまなキャスティングのパターンがある中で、今回は昔から知ってるディレクターが「一緒にやりませんか?」と言ってくれたんです。現場の人間としては、それを粋に感じて、単純にうれしかったですね。
――3月まで担当されていた『みんなのニュース』は、伊藤さんが現地入りするなどして力を入れていた震災被災地の熊本や福島で、視聴率が横並びトップだったじゃないですか。その中での担当番組の変更というのは、志半ばという気持ちではないですか?
伊藤:取材先との向き合いについては、『とくダネ!』でも引き続き、丁寧に謙虚に取り組みたいと思います。小倉(智昭)さんを中心に『とくダネ!』が守ってきたものがある中で、どういう変化をもたらすと番組がより輝きを増すかという方法論の中に、僕と山崎という人間をキャスティングするという考えが現場から出てきたというのが、出役としてはうれしいことだし、頑張らなければいけないと今は思っています。そのディレクターに「おまえが頑張るなら、俺も頑張る」という話をしたのを覚えてますね。
山崎:そんな経緯があったんですね…。
――熱いですね! 山崎さんはいかがでしたか?
山崎:私は伊藤さんみたいに、冷静に受け止められなかったんです。突然アナウンス室から「山崎は『とくダネ!』だ」って言われて、私が!?っていう青天の霹靂でした。バラエティに出演して、『めざましテレビ』でもエンタメ担当で、明るいニュースを中心にしか扱ったことがなかったので、『とくダネ!』のような番組にMCで就くなんてないだろうと思ってたんです。だから、できない自分しか想像できなくて、「絶対私には無理!」っていう絶望で、おなかを下してしまいました(笑)
伊藤:今回の起用は僕のほうが先に決まって、山崎はまだ調整中という時期があったんです。で、そのときにアナウンス室の衣装室で、山崎と一緒になって、大きな鏡の前でツーショットになる瞬間が生まれたので、「おはようございます。『とくダネ!』です」と言ってみたら、山崎は「なに言ってるんですか~!」って言ってきて、「ああ、まだ知らされてないんだな」と確認しました(笑)
山崎:「伊藤さんと2人で『とくダネ!』なんてやるわけないでしょう!」って言いました(笑)
――でも、お2人の起用は、われわれ視聴者もビックリしましたよ。
伊藤:僕らもですよ! まさかですよね。
山崎:始まって1日目で、やっと実感がわきました。会見のときも「本当にあるのかな?」と思ってましたから。
緊張で口の中がカラカラ
――1週目の金曜日のエンディングで、山崎さんは「どっと疲れました」とおっしゃってましたね。
山崎:1週間が1カ月のように感じました…。本当に脳が疲れます! 今まではスポーツ紙の芸能面を読んできたので、番組の準備のために一般紙を読み込むという作業は、私にとってすごく時間がかかるんですよ。空き時間も脳をフル回転で使ってるんで、毎日が眠くてしょうがなかったです(笑)。本番も緊張しいなので、伊藤さんがいつこっちに振ってくるかと思ってドキドキして、口の中がカラカラなんです。
――MC業務だけでなく、「NEWSヤマサキ調べました」のコーナーでプレゼンもされますから、そちらの準備も大変じゃないですか?
山崎:あのコーナーは、笠井(信輔)アナウンサーと一緒に打ち合わせをして、その後にMCとしての準備をするので、慣れていない私にとっては効率よく準備ができず、脳細胞もフル稼働して、もうヘトヘトなんです…。
伊藤:でも、心配性で、ある程度きちんと準備をしておかないとOAへ臨むにあたって不安だというのは、山崎のいいところだと思うんですよ。今回の『とくダネ!』が決まった後、アナウンス室で勉強をし始めていましたし。
山崎:もう、それ言わなくていいですよ!