バイクの世界でもSUVのような車種が人気なのをご存知だろうか。「アドベンチャーツアラー」と呼ばれるジャンルで、あのパリ=ダカールラリーをルーツに持ち、オン・オフ両用で長距離走行にも向く。近年はスモール~ミドルクラスも充実してきたこのカテゴリーに注目したい。
クルマはSUVブーム、バイクは?
自動車業界ではSUVが大人気。先日取材で訪れた米国のニューヨーク国際オートショーでも、トヨタ自動車「RAV4」やスバル「フォレスター」の新型をはじめ、多くのSUVのニューモデルが発表されていたし、国内ではマイナビニュースでも紹介している三菱自動車工業「エクリプスクロス」、ランボルギーニ「ウルス」をはじめ、ジャガーやボルボなどから新型車が登場している。
ところでバイクの世界でも、似たようなブームがあるのをご存じだろうか。SUVではなく「アドベンチャーツアラー」という名前だが、やはり近年人気が高まり、各社から新型車が続々と登場している。
「アドベンチャーツアラー」とはどんなバイクか
車高が高めでハンドルも高い位置にあり、悪路走行を想定したブロックパターンのタイヤを履いた車種もある。「ツアラー」と付いているように、長距離走行を想定して風よけのスクリーンを装着し、荷物の積載を考えてシート後方にキャリアを用意するスタイルが一般的だ。
オン・オフ両用のスペックとそれにふさわしい高めのポジションを持ち、レジャーユースにも対応する快適性と積載能力を併せ持つ。こうした要素がSUVと共通していると感じる。
1960年代に生まれたSUVほどではないものの、アドベンチャーツアラーの歴史も長い。ルーツといえるのは、現在のこの分野の代表格であるBMW「R1200GS」の祖先に当たる1980年発表の「R80G/S」だ。興味深いのはこの「R80G/S」、少し前に始まった「パリダカ」ことパリ=ダカールラリー(現ダカールラリー)と深い関係があることだろう。