ついに終盤、おやまん覚醒
【初の席替えと2ndステージ】
30分の制限時間が経ち、参加者たちは仲良くなった異性とLINEを交換したうえで、次のテーブルに移っていく。しかし、コミュ障なおやまんは、一切スマホを取り出すことなく、そそくさと次のテーブルに移るという、またも華麗なるソロプレイをかます。
スタッフ実況
「え、なんでっ!? みんなLINE交換しているのに、おやまんさんだけしていない……。しかもせっかくの席替えなのに、また女性の隣を確保できず。ここ一歩を踏み出さないと! ただ、少しずつ会話の輪に入れるようになっているのではないでしょうか。リーダー的な男性の補佐的な位置につき、会話をサポートしているような印象を受けます」
パイセン実況
「先ほど『自分の名前は"こやま"じゃなくて"おやま"です! 一文字違いで大違いです』的なことを言って笑いを獲ろうとしていました。完全にスベりましたが、口数が増えてきたのはいいことですね。あと自分で会話を回すには相応の話術が必要不可欠ですが、それができなければ"補佐に徹する"というのも実用的なテクニックです」
【3rdテーブル】
少しずつ会話の輪に入れるようになってきたものの、まだ頑なにコミュ障の鎧を脱がないおやまん。続く3stテーブルでは、女性と一緒にビールのおかわりに行くというチャンスに恵まれるのだが……。
スタッフ実況
「おっ、おやまんさん! ここにきて初めて女性と二人でビールのおかわりに行きましたね。これはいい傾向です。大人数のテーブルから離れ、二人だけの環境を作るというのはかなり有効な手だと思いますよ」
パイセン実況
「いや、待ってください。一緒には行きましたが、女性がフード、おやまんがビールを取りに行くという、まさかの現地で二人別行動です。ここにきて効率化を図るのは良くないですね。仕事で"段取りが大事"と口うるさく教えてきたのが裏目に出たのでしょうか」
【ほろ酔い】
最終テーブルの残り時間もわずか。ここでおやまんが覚醒。同じテーブルの男性が席を外した瞬間、初めて女性の隣をキープし、積極的に会話を切り出していく。
スタッフ実況
「最後のテーブルということで、気合を入れたのでしょうか。おやまん、他の参加者がビールを取りに行った隙に、女性の隣を確保するというこれまでにない積極性を見せていますね。攻めに転じているのは良いことだと言えるでしょう」
パイセン実況
「うーん、もしかして酔っているのでしょうか? 若干ですが、足元にふらつきの色が見えます。ここにきて多量のアルコール摂取によるダメージが出ているようです。ただ、もう後半戦ですので、攻めの姿勢は大事にしていきたいですね」
命運を分けたフリータイムの罠
【フリータイム】
ラスト30分はフリータイム。これまで話した女性に再アタックするもよし、テーブルは一緒にならなかったけど気になってたあの子を狙うもよし。まさに早い者勝ちで、運とかでは言い訳できない実力勝負な時間となる。しかし、おやまんはここで痛恨のミスを犯す……。
スタッフ実況
「せっかくのフリータイムなのに、女性と話さず、男性と二人で話してしまっていますね。もったいない……。協力プレイに出るのもアリだと思いますので、とにかく早く行動に移したいところです」
パイセン実況
「二人とも、間違って女性専用車両に乗ってしまったときのような顔をしていますね。先ほどまで調子がよかったので、最後に油断してしまったのでしょうか。むしろ大事なのは、最後と言っても過言ではありません」
【くじ引きゲーム】
フリータイムが数分経過したところで、突如アタックチャンスが到来する。プロフィールカードに記入した項目(出身、職業、趣味、誕生日)が被っている異性を見つければ、愛のくじ引きができるとのこと。ここでおやまんは、運よくある女性とペアに。
スタッフ実況
「ゲームに助けられました。くじ引きから戻ってきてからも、今までになく会話が盛り上がっているように見えますが、これはいったい何を話しているのでしょうか? 気になりますね」
パイセン実況
「どうやら、下ネタのようですね。『私、下ネタとか全然オッケー』と話す女性に、どぎついネタを放り込んでドン引きされる、というパターンはよく目撃しますので、ここは細心の注意を払いながら上品なネタをチョイスしてほしいところですね」
【街コン終了】
終了時間を迎えるとバラバラと解散となるが、これが女性にアタックするラストチャンス。連絡先のゲット、二次会への勧誘……参加者たちは最後のひと踏ん張りをみせる。おやまんは、男女4人で会話が盛り上がり、終了時刻を過ぎてもなかなか解散しないほどの善戦ぶり。
スタッフ実況
「もう終了時刻となりましたが、よほど盛り上がっているのか二次会に誘われているのか、おやまんさんはなかなか会場から出てきませんね。開始時から考えると、かなり進歩したと言えるのではないでしょうか」
パイセン実況
「はい、これは意外な結果ですね。まさか彼が、ここまで会話の輪に入れるようになるとは思いませんでした。どなたかと今後に繋がるような報告が聞けると嬉しいですね」
おやまん感想&結果発表
お疲れ様です。噂のおやまんです。この日は計15人の女性と会話を交わしました。仕事を除けば、実に半年分に相当する量の女性とのコミュニケーションを強いられたと言っても過言ではありません。ありがとうございます。
終わってみての率直な感想としては、なんと言いますか自分やその周囲のことをいかに客観視できているかが非常に重要になるなと。あくまでも複数対複数での会話がほとんどなので、その中で自分の力を発揮できるポジションをいかに早く見つけられるかがカギになるように感じました。ヘタに仕切ろうとしても向き不向きがありますし、かといって場を回している人が席を離れたときは自分がその役割を担う必要が出てくる場合もありますし。これはストリートで行うナンパでは味わえない緊張感があります。ナンパしたことないけど。
なんにせよひとつ確実に言えるのは、目の前の女性を楽しませようという意識を常に持つことが基本であり最優先事項であるということですね。いま会話している相手は何を考えていて、何を欲しているのか。これはもはや街コンに限らずビジネスにおいても大事なことでしょうし、もっと言えば人生においてもものすごく大切なファクターであると言えます。ファクターとかいうよくわからない横文字を使っているのは読者のことを考えられていないんじゃないか、という意見も聞こえてきそうですが、街コンに参加する前はそれにすら気が付けませんでした。街コンにはこの世の全てが詰まっています。街コン is everything.
ということで、この日はクラフトビールの全面的なサポートもあり、心優しき3人のレディと連絡先を交換できました。ここからは、追い込まれた末に編み出したコミュ障なりの距離感の詰めテクニックをダイジェストでお送りします。
【連絡先を交換したレディたち】
1人目: 本命のAさん。元AKB48でタレントの大島麻衣さんに似ており、笑顔が素敵で明るいグッドバイブスをお持ちの方でした。開始早々おやまんスカウターに反応し、1度目の席替えをした後のテーブルで一緒になったものの、笑顔がまぶしすぎて直視できずにあえなく撃沈。ここからひそかに精神統一を行うことで1ターンに2回行動を狙い、会がお開きになった帰り際にばくれつけんで8回攻撃をお見舞いしました。ドラクエをご存知ない方のために要約すると、同行していた女性が荷物を取りに行った隙を狙って、もう帰るだけだしどう思われてもいいやというヤケクソ精神で話しかけまくった的な感じです。この場を借りて厚く御礼申し上げます。 |
2人目: 釣り好きのアクティブなBさん。「休日は何をされているんですか?」という、男としてもインタビュアーとしても2点ぐらいの質問に対して返ってきた「こないだの土曜は釣りに行きましたー」というレスポンスを私は見逃しませんでした。港町で育ったことで培われた中途半端な釣りと魚の知識をフル稼働させ、自分のことを知ってもらいつつ割といい具合に会話を盛り上げることに成功。無駄に腰からぶら下げたマイカーのカギをちらつかせ、釣りに行くアポでフィックスしました。知ったかぶりは最悪ですが、多少こじつけであっても会話のテーマを自分の得意分野に持ち込むのは有効な気がします。ありがとうギョざいます。 |
3人目: 見た目も中身も上品な、マドモアゼル・Cさん。この日は学生時代の同級生と2人で参加しており、会には遅れて参加してきた模様。それゆえいまいち全体の輪に入り切れていない雰囲気を漂わせていたので、輪に入り切れない男・日本代表の私としては放っておくことができませんでした。育ってきた環境が違うから好き嫌いはイナメナイという、我々世代にがっちり刷り込まれた固定観念を必死で押さえつけ、ここぞのタイミングで切り札の封印されしフードチケットを投入。普段なら絶対に選ばないであろうピクルスの盛り合わせ的なものを上品にオーダーし、墨田区の会場に西洋の風を吹かせました。地力が弱いなら弱いなりに、使えるものは何でも活用すべきですね。ダンケシェーン。 |
コミュ力が、劇的にあがった
今回、取材に協力してくれたスタッフさんいわく、街コンで大事なポイントは、以下の3つだと言う。
「最善のポジションを確保する!」
→女性の隣をキープするということ。これはビジネスでのコミュニケーションにおいても同じことが言える。人と話すためには、まず【準備・段取り】を入念に行い、自分に適したポジション取りをすることが重要だ。
「会話も立ち位置も一歩前に出る!」
→好意の相手がいたとしても、声を出さなければ思いは伝わらない。クライアントと接するときも、この【積極性】を意識することで、結果が変わってくる。黙っていても相手から好かれるのは、山崎賢人レベルのイケメンのみ。
「適した会話スタイルで攻める!」
→まずは場の空気を読み、適した会話を選ぶこと。率先して会話を引っ張る人がいなければ自分がその位置に、リーダーシップを発揮する人がいるなら自分は補佐役に。誰と話すときも、その場その場に適した会話を選ぶ【テクニック】は身に付けたい。
今回は潜入取材ということで、手助けもアドバイスも一切しなかったのだが、最初こそオロオロしていたものの、おやまんは知らず知らずのうちに上記の3つを意識した女性へのアタックを行っていたように思う。これはコミュ障の彼にとって、大きな進歩と言えるのではないだろうか。
職場に引っ込み思案の後輩や同僚がいるという人は多いはず。そんなときは一度、街コンに連れて行ってみるといい。「しゃべらない=ひとりっきり」という危機感のあまり、これまで見せたことのない"火事場のコミュ力"を発揮してくれるかもしれない。