都内で開催された説明会には、NTTドコモ ネットワーク本部の宮下真一氏が登壇して、ドコモのネットワーク対策について紹介しました。
2017年には国内最速となる下り最大788Mbpsの提供を開始した同社。2018年夏には、複数の最新機種で下り最大988Mbps、上り最大75Mbpsを提供予定です。これはCA(キャリアアグリゲーション)拡張や、3.5GHzと1.7GHzにおける「4×4 MIMO」、「256QAM」への変調多値化といった新技術を組み合わせて実現するもの。おなじみ「電波とトラヒック」の関係を「道路とトラック」に例えるなら、CA拡張は道路幅の拡大、MIMO拡張は搬送ルートの拡大、変調多値化はトラックの積載量の増大にあたります。
また第5世代移動通信システム(5G)についても、2020年頃の商用化を目指して開発を進めています。ドコモでは、5Gの特徴である「高速・大容量」「低遅延」「多数端末接続」の3本の軸のうち、高速・大容量により「継続的に増加するパケットトラヒックへの対応」を行うほか、特徴をフル活用して「他企業とのコラボレーションによる新産業・新市場の創造」も実現していきたい考えです。
なお、5G基地局への投資について、宮下氏は「既存のLTE装置を活かしながら、迅速かつ経済的に5Gエリアを構築していきたい」と説明します。一部のネットワークでソフトウェアをアップグレードし、またハードの部分的な追加を行いつつ5Gを効率的に提供していきたい考えです。
マンホール型基地局を5Gの基盤に
2020年頃を目処にした5Gの商用化を見据えると、やはり新たな基地局基盤の創出は差し迫った課題。そこで、冒頭のマンホール型スモールセル基地局の話に戻ります。ドコモでは将来的に5Gの基盤として利用できるよう、この新しい基地局の開発と検証を急ピッチで進めています。
2018年3月には北海道札幌市で、このマンホール型基地局の検証を開始しました。この結果、厳冬の環境で積雪が45cmに達しても、たとえアイスバーン(氷)に覆われても、電波の減衰はほとんど認められないことが明らかとなりました。
今夏には沖縄県南城市で、高温多湿、台風、多雨といったシチュエーションで検証を実施。今秋には東京都渋谷区で、高トラヒック対策の検証を行う予定です。宮下氏は「マンホール型スモールセル基地局なら、基地局の設置が難しかった地域の通信環境を改善できる。2018年度内に運用できるよう、さらに検証を進めていきたい」と意欲的に語っていました。