当面はMNO3社間でのみ送受信できるサービスとなるが、国際標準規格ということもあり、将来的には海外のキャリアとも送受信できるようになる予定。また、LINEのように企業などのアカウントを設置し、自社の登録ユーザーに向けてリコール情報の配信やサポート窓口としてチャットサービスなどへの活用も期待されている。
ちなみに3社から2018年5月以降に販売されるAndroid端末についてはプリインストール、それ以前の端末については、KDDIとソフトバンクはSMS/MMSアプリのアップデートで対応、ドコモは自社ウェブサイトから専用アプリを配信する。iOS向けにはApp Storeで専用アプリが配信されるという。またAndroidを採用したフィーチャーフォン(いわゆるガラホ)については、将来のアップデートでの対応が検討されている。
中心となる組織の不在は不安
世界標準規格であり、Googleらのサポートもあるとあって、RCS自体は今後世界的に広まる気配が濃厚だ。それでは「+メッセージ」も無事普及し、LINEなどと競合するサービスに育っていくかということになると、なかなか難しい点がある。というのは、現時点では「とりあえず一緒にサービスを発表した」という段階で、将来の未定要素が多すぎるのだ。
たとえばSMSであればMVNOも利用可能なところが多いが、+メッセージ(RCS)については規格さえ同じであればいいというものではなく、各社のネットワークに接続するために設備面での準備が必要だという。同様の理由で、サービス開始時には海外の既存RCSとも接続できないため、せっかくの国際規格である強みが活かせない。
そもそもMVNOであれ企業アカウントであれ、構想はあるが実際にどうするかは何も決まっていない段階のものが多い。たとえば仮に「+メッセージマイナビ公式アカウント」を作りたいとして、3社のどこに連絡すればいいのかが決まっていないわけだ。MVNOも同様で、ネットワークを借りているMNOにのみ接続すればいいのか、ほかのMNOとも接続しなければならないのかなど、不明な点が多い。
MNO3社が共同で記者会見を開催するということ自体は非常に稀であり、それだけ+メッセージが重要なサービスであることは間違いないのだが、実体としては「とりあえず歩み寄ってはみたものの……」という感じが否めない。これならいっそ、RCSのアカウント管理や接続を管理する専用の会社を共同で設立したほうがよかったのではないだろうか。