本体に可動する部分がないため、装着はちょっと手こずるかもしれません。イヤホンとしては珍しく、スピーカーは本体下部に搭載。音は下部から音道管(音の通り道)を通って耳に届く仕組みになっています。本体は中央が吹き抜けになっているリングサポーターと音道管で支えます。一言で言うと、上からかけるタイプではなく、下から挿し込むタイプなのです。
正式な装着方法は、本体の隙間(リングサポーターと本体の隙間)に耳たぶを通し、下から耳穴めがけて上に押し込む形です。慣れないとなかなかハマらないのですが、一度装着すれば安定感があり、多少頭を動かしたくらいでは落ちる気配はありません。
ソニーモバイルコミュニケーションズ スマートプロダクト部門 商品企画課の八木泉氏は、「周囲の音や相手との会話が聞こえないことで、コミュニケーションが疎かになる場合がある。スマートフォンにおけるコミュニケーションが促進される革新的なリスニングスタイル」と話します。
開発を担当したスタッフの1人は、「Xperia Ear Duo」を初めて着けた時の感覚を「不思議な感じでした。相手の声が聞こえるというのは、こんなに良いものだったのだなと。まあ、そう作ったのですが(笑)」と笑いながら話しました。
日本ではLINEのClovaに対応、声でLINEを送信
環境音が聞こえるという以外にも、「Xperia Ear Duo」にはいろいろな機能があります。そのひとつが音声アシスタント対応。標準で自社の音声アシスタント「Assistant for Xperia」を搭載し、左右2個ずつ搭載されているマイクを通じて、「曲を再生して」「ラジコをかけて」など、音声による操作が可能です。
音声アシスタント対応は、スマートフォンとのペアリングが前提。Assistant for Xperiaは、リリース時点ではAndroidのみの対応となっています。ただし、iOSではSiri、AndroidではGoogleアシスタントやLINEのClovaに対応し、音声アシスタントによる検索や、AndroidではLINEメッセージの送信などが行えます。
なお、「Xperia Ear Duo」のClova対応は日本版のみの独自機能で、LINEのスマートスピーカー以外では初の対応。LINEのClova事業企画室 Clovaオープンプラットフォーム企画チームの小城久美子プロジェクトマネージャーは、「大きな2つのチャレンジがあった」と語りました。ひとつは、Clovaにとっては初の、LINE以外となる他社製品であること。もうひとつは、据え置き型のスマートスピーカーではなく、ウェアラブル製品の搭載になったことです。
このほか、最大5大までの「Xperia Ear Duo」もしくは「Xperia Ear」(前モデル)をグループ登録し、ネットワークを通じたリアルタイムの会話が行えるAnytime Talkも備えています。トランシーバーのように利用でき、アウトドアを楽しむ仲間でや、仕事が同じチーム内などでコミュニケーションが捗るとしています。これも残念ながら、11日時点ではAndroidのみの機能です。
片耳約10gの軽やかさでランニングに良さそう
悩む部分もありますが、筆者は「Xperia Ear Duo」の購入をかなり前向きに検討しています。欲しいと思った理由は、「環境音が聞こえる開放型」「左右が分離した完全ワイヤレスイヤホン」「軽さ」の3点。たまにランニングをする筆者にとって、環境音が聞こえる完全分離型イヤホンはかなり魅力的。また片耳10.6gの本体は、非常に軽やかな着け心地です。
悩む部分は約30,000円という価格。多くの機能が搭載されており妥当な価格だと思いますが、ハイレゾ非対応でもあり、もう少し安いと手が届きやすい(グムム)……。また、短時間試した限りでは大きな問題はなさそうでしたが、開放型ならではの音漏れも気になる部分です。
しかし、価格だけが理由であれば、まず買ってみたくなるのは人の性(たぶん)。4月21日の発売日までに心を決めておこうと思います。
「Xperia Ear Duo」の主な仕様
- 専用アプリ:Android 5.0
- Bluetooth:4.2/LE
- NFC:非搭載
- マイク:左右各2つずつ
- 連続再生時間:約4時間
- 電池容量:56mAh
- 防滴機能IPX2
- 本体サイズ:W59.6×D17.5×H10.2mm
- 重量:約10.6g(左右各)
- 充電ケース:約76g、USB Type-C充電(740mAh)
- カラー:ブラック、ゴールド