NASを使うには、HDDやSSDといったストレージを別途追加するものが主流です(あらかじめ内蔵しているものもあります)。製品によっては、搭載できるストレージが1台だけでなく、2台、4台、8台と複数台にわたるものも多くあります。

  • NASには複数台のHDDを内蔵できるモデルが多い。画像は2台のHDDを内蔵できるモデル

複数台のストレージをそろえるとなると、費用がかかりますが、ことデータのバックアップを考えると、大きな信頼感と安定性を実現できます。ここでポイントとなるのが「RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)」という機構です。一般的に、RAIDは「レイド」と呼ばれています。

RAIDを簡単に説明すると、複数台のHDDを1台のHDDのように扱う仕組みのこと。例えば、3TBのHDDを2台搭載することで、6TBの容量を持つ1台のHDDとして扱えるようになります。RAIDにはいくつか動作モードがありますが、一般的なコンシューマでよく使われるのは「RAID 0」と「RAID 1」でしょう。ここでは2台のHDDを使った場合で説明しましょう。

「RAID 0」は、ファイルを書き込む際に、片側のHDDに書き込むのではなく、ファイルを小分けして、2台のHDDに対して同時に書き込むことにより、アクセス速度を高めることができるのです。データがストライプのように、シマシマに記録されることから「ストライピング」という呼称もあります。

  • RAID 0(ストライピング)の概念

多くの容量を生かせるだけでなく、高速動作も可能とメリットだらけですが、片方のHDDが故障した場合、データが復旧できなくなる可能性が高くなるというデメリットもあります。ここは要注意ポイントです。

RAID 1は信頼性を高める仕組みです。「ミラー」とも呼ばれますが、2台のHDDに同じデータを同時に書き込むことによって、どちらかのHDDが故障しても、もう片方のHDDが存命であれば、データが復旧できる、まさにバックアップに最適な仕組みとなっています。ただし、記憶可能な容量は1台分となり、3TBのHDDを2台使用した場合の総容量は3TBとなります。

  • RAID 1(ミラー)の概念

ほかにもHDDを3台以上使用して、データの保護と記憶容量を両立させたRAID 5や、HDDを4台以上使用してエラーに対応できるものまであります。ちなみに、HDDを2台搭載することを「2発」、4台搭載することを「4発」などと呼ぶと、ちょっとツウぶることができます。

HDDを4台も搭載したNASなんて憧れますが、その分、導入コストも跳ね上がりますので、家庭用としては2発のNASが過不足ないベストチョイスでしょう。

次回は、実際に2発のNASを導入してみます。最初からHDDが内蔵されたメーカー製のNASもありますが、NAS市場では自分でHDDを組み込む「自作NAS」が主流となっており、本連載でもそちらを採用します。あのド定番のNASを組み立てますのでご期待下さい。