米国の教育市場で60%近いシェアを持つ「Chromebook」が注目を浴びている。これに対してアップルは教育市場を意識したペン対応の低価格iPadを発表するなど、教育用デバイスを巡る競争は激化している。
日本では4月26日にAcerがLTE搭載のChromebookを発売し、レノボも5月にChromebookを国内に初投入する。米国に続き、Chromebookが日本でも普及する可能性はあるのだろうか。
Chromebookが教育市場に入り込んだ理由
世界のPC市場ではWindowsが、スマホやタブレットの市場ではiOSやAndroidがシェアの大半を占めている。こうした状況の中、グーグルのChrome OSを搭載したChromebookは、なぜ教育市場で成功できたのだろうか。
最大の理由はコストの安さにある。米国でChromebookは150ドル前後で売られている。たしかにWindowsのノートPCにも格安モデルは存在し、日本で2万円前後の製品が話題になったこともあるが、同じ価格ならChromebookのほうが動作は軽快だ。
その理由はOSの方向性の違いにある。Windowsは高機能で自由度が高いものの、PC内部に多数のアプリやデータが混在し、セキュリティ上のリスクも大きい。これに対してChromebookはクラウド上のアプリをブラウザーから利用することが基本になるため、PC本体のスペックにあまり依存しないというわけだ。
教育向けの機能も充実している。グーグルは管理用のツールを提供しており、教員は多数のChromebookを容易に管理できる。クラウドの利用も、企業では従業員ごとに利用料がかかるが、グーグルは教育用のG Suiteを無料で提供している。
このようにChromebookは端末が安いだけでなく、トータルの運用コストが低いのが特徴だ。その最大のメリットは「1人1台」を実現できる点にある。高価なWindows PCは職員室の鍵付きラックに保管して運用されているが、1人1台のChromebookなら自宅に持ち帰って宿題に活用できる。
iOSやAndroidとの比較ではどうだろうか。教育市場でアップル製品の人気は高く、教育用アプリも充実している。問題は価格の高さと耐久性だ。4月に発売した第6世代iPadは価格を3万7800円に下げてきたものの、子どもが手荒に扱っても耐えられるのか、不安は残る。
同じグーグルのプラットフォームとしてはAndroidタブレットもあるが、標準でキーボードを備えているChromebookは文章をタイプする高等教育に対応できる点が評価されている。だがChromebookにもタブレット型のモデルが登場するなど、両者はオーバーラップしつつある。