注目のプロデューサーは『ヘッドハンター』

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『ヘッドハンター』キャスト(小池栄子、江口洋介、杉本哲太/左)と稲田秀樹プロデューサー

プロデューサーという点で注目なのが、テレビ東京が月曜22時台に新設したドラマ枠『ドラマBiz』でスタートする江口洋介主演『ヘッドハンター』の稲田秀樹プロデューサー。かつて所属していた共同テレビ時代は、先の古沢脚本『リーガルハイ』シリーズを手掛けたほか、櫻井翔主演『家族ゲーム』(13年、フジ/満足度3.98)や、西島秀俊主演『無痛~診える眼』(15年、フジ/3.96)など、エッジの効いた挑戦作ながら高満足度を記録する作品を多く手掛けた。16年にテレビ東京に移籍してからは、伊原剛志主演の『ヤッさん~築地発!おいしい事件簿~』や、KAT-TUN・中丸雄一主演の『マッサージ探偵ジョー』とコミカルな作品が続いてきたが、今作はテレ東が得意とする"経済・ビジネス"をテーマに、硬派なドラマをプロデュースする。

そして、そこに集まったのが『離婚弁護士』、『医龍』(第3期まで)、『コード・ブルー』(第2期まで)、『BOSS』(以上フジ)、『ハゲタカ』(NHK)など、続編や映画化されるなど超大ヒット作を手掛けてきた脚本家の林宏司氏。単独での連ドラ執筆は16年1月期の満足度ナンバー1作品だった遠藤憲一主演『お義父さんと呼ばせて』(カンテレ・フジ系、満足度3.93)以来となる(※2)。『お義父さん―』はコメディの秀作だったが、林氏は先の作品群からもわかる通り"お仕事ドラマ"の巧者で、このドラマ枠のテーマと相性は抜群。今回は"転職業界"を舞台に、お仕事ドラマの名作が誕生する予感だ。

(※2)…その間の16年10月期放送のNHK『スニッファー』、WOWOW『コールドケース』は共同脚本

そして、その監督がドラマから受ける印象とは真逆の、ポップでファンタジックな演出が特徴の星護氏という点が面白い。星監督は、『古畑任三郎』(フジ)の記念すべき第1シリーズや、草なぎ剛の大ヒットシリーズ『僕の生きる道』『僕の歩く道』(カンテレ・フジ系)などを手掛け、左右対称に画面を構成するシンメトリー演出や、劇中の文字にまで強いこだわりが見られる個性の強い監督。テレ東作品は、昨年9月に放送されたSPドラマ『テミスの剣』以来だが、連ドラでは15年の昼ドラ『癒し屋キリコの約束』(15年、東海テレビ・フジ系)以来、ゴールデン・プライム帯の連ドラでは、今作同様江口洋介主演だった『dinner』(フジ)以来5年ぶり。どんな映像世界になっているのかにも注目だ。

波瑠主演作は『あさが来た』の大森美香脚本

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『未解決の女 警視庁文書捜査官』波瑠(左)と大森美香氏

その他、波瑠主演の『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレビ朝日、木曜21:00~)は、波瑠主演のNHK朝ドラ『あさが来た』(満足度3.98)や、昨年は竹野内豊主演『この声をきみに』(NHK、3.77)など、良質なドラマが多い大森美香氏が脚本で、同氏の"事件解決モノ"はGP帯単独執筆デビューだった常盤貴子・深津絵里主演『カバチタレ!』(01年、フジ)以来とあって、いつもの"テレ朝刑事モノ"にはならない予感。

また、二宮和也主演『ブラックペアン』(TBS、毎週日曜21:00~)の放送枠『日曜劇場』は、『陸王』が17年10月期トップ、『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』が今年1月期2位の満足度と良作の流れ。しかも、スタッフは先の『陸王』や歴代ドラマ満足度トップの『半沢直樹』などの福澤克雄監督に、17年4月期2位の満足度だった『小さな巨人』の丑尾健太郎脚本、原作は人気シリーズ『チームバチスタ』(カンテレ・フジ系)の海堂尊氏と、良作間違いなしの組み合わせでこちらも見逃せない。

今期も思う存分ドラマが楽しめそうなクールになりそうだ。