スマートフォンのカメラ機能が高画質化・高性能化しているなか、デジタルカメラがまだ優位な点がいくつかあります。特に「大型センサー」と「高倍率のズームレンズ」という優位な点を2つ備えたデジタルカメラ「LUMIX DC-TX2」(以下、LUMIX TX2)がパナソニックから発売されました。従来モデルでも定評のあったそれら2点をしっかりと磨き上げ、高画質コンパクトデジカメの決定版ともいうべきモデルに仕上がっています。

  • パナソニックが3月中旬に発売したコンパクトデジカメ「LUMIX DC-TX2」。実売価格は税別98,000円前後

1インチセンサー+15倍ズームながらコンパクトなボディー

LUMIX TX2は、2016年3月に登場した「LUMIX TX1」(DMC-TX1)の後継に位置づけられるコンパクトデジカメです。LUMIX TX1は、コンパクトなスリムボディーに1インチの大型センサーと光学10倍の高倍率ズームレンズを搭載し、大型センサーならではの高画質と高倍率ズームレンズによる使い勝手のよさを両立したことで話題を呼びました。

  • LUMIX TX2(左)と前モデルのLUMIX TX1(右)。基本的なデザインはLUMIX TX1を踏襲していますが、グリップに赤いラインが追加され、より精悍な印象になりました

  • 本体背面。全体的なボタン配置などは変わらないものの、細かい部分が改善されました。ともに、左上にEVF(電子ビューファインダー)を搭載しています

今回登場したLUMIX TX2は、レンズのズーム倍率を35mm判換算で24~360mm相当の光学15倍ズームに引き上げ、望遠性能を高めたのが大きな特徴です。LUMIX TX1が35mm判換算で25~250mm相当の光学10倍ズームレンズだったので、遠くの被写体をさらに大きく写せるようになりました。

  • LUMIX TX2(左)とLUMIX TX1(右)で、それぞれズームを望遠端にしたところ。ズーム倍率が変わったことで、レンズの繰り出し量はこれだけ変わりました

  • LUMIX TX2(それぞれ左)とLUMIX TX1(それぞれ右)の側面。電源をオフにすると厚さはともに約45mmほどにまで薄くなり、手軽に持ち運べます。これはデジタル一眼にはない大きなメリットの1つといえます。LUMIX TX2はレンズのズーム倍率が高くなったにもかかわらず、電源オフ時の厚みがあまり増えていないのは評価できます

  • LUMIX TX1の望遠端で遠くにあるマンションを撮影。250mm相当だと、ここまで大きく写せます

  • 360mm相当となるLUMIX TX2の望遠端だと、同じマンションをここまで大きく写せます

  • 250mm相当となるLUMIX TX1の望遠端で石組みの柱を撮影

  • 360mm相当となるLUMIX TX2の望遠端で撮影。LUMIX TX2のほうがボケの表現が大きいうえ、後方のボケの部分の描写もうるさくなくスッキリしている印象です

広角側が24mmというと、最近のスマートフォンのカメラと比べても広角な部類に入ります。室内でも一度に多くの人を入れて撮影したり、風景をよりダイナミックに撮影できます。また、望遠端の360mmという数字だけでは実力を想像しづらいですが、目でははっきり見えない遠くにある被写体も目の前に引き寄せるように撮影でき、迫力のある写真が得られます。これだけのズームができるのは高倍率ズームデジカメならでは。スマートフォンのカメラでは、こうはいきません。

  • LUMIX TX2でスペイン・バルセロナ近郊のタラゴーナにあるローマ時代の水道橋を撮影。左が24mm相当の広角端、右が360mm相当の望遠端で、これほど大きな画角差のある撮影が1台でこなせます。ズームアップすると、石積みの一部分をじっくりと観察できるほどです

  • LUMIX TX2で撮影した24mm相当の広角端。感度がISO1600にまで上がりましたが、十分実用的な画質です。1/25秒のスローシャッターでも、手ぶれは余裕で補正してくれました

  • LUMIX TX2で撮影した360mm相当の望遠端。シャッター速度が1/8秒まで下がったので、さすがにヒット率が下がりましたが、それでも光学式手ぶれ補正機構の威力を発揮してくれました

ズーム倍率が上がったうえ、広角側もひとまわりワイドになりながら、本体サイズは全体的に1mm程度大きくなっただけなのも評価できます。重さは30gほど重くなっていますが、体感的にはそれほど大きな差はありません。ただし、レンズの開放F値が広角端でF2.8がF3.3になってしまったのは、わずかですが残念なところといえます。