第5位 越代のサクラ(福島県石川郡)
第5位は、越代のサクラ。林野庁が選定した国有林を代表する巨樹・巨木「森の巨人たち百選」に、花見を楽しめる木としては唯一ランクインしたヤマザクラの一本桜だ。
第7位で紹介した吉高の大桜も、ヤマザクラの一本桜としては極めて樹形が整っているが、越代のサクラには圧倒的な風格まで備わっており、上には上があると恐れ入る他ない。しかも、県道沿いにあって交通至便。ゴールデンウィークの貴重な一日を費やすのにも惜しくない花見名所だ。
開花が遅いヤマザクラで標高が高い場所にあるので、他の桜はほとんど終わっているが、あしかがフラワーパークの藤や、国営ひたち海浜公園のネモフィラが見頃を迎える時期なので、周遊して花見を楽しめる。
●information
越代のサクラ
例年の見頃: 4月下旬~5月上旬
住所: 福島県石川郡古殿町大字大久田字越代
アクセス: 東北新幹線新白河駅から石川営業所行きバス63分、終点石川営業所で有実上行きバスに乗り換え51分、終点下車徒歩約40分
第4位 権現堂桜堤(埼玉県幸手市)
第4位の権現堂桜堤は東京近郊とは思えない、桜と菜の花が絶景の花見名所。ここも、第6位で紹介した「わに塚の桜」のように、映画やミュージックビデオのロケ地として頻繁に登場する場所で、実際の見応えも抜群だ。
今回紹介した花見名所では開花時期が一番早く、記事が公開される頃には見頃を迎えているに違いない。2018年は桜の開花が早い上に、他の菜の花名所でも不作の場合が多かったので、2018年は両者の絶景コラボは難しいかもしれない。しかし、このように容易でないからこそ、貴重な光景として素晴らしい思い出として残るのだ。
権現堂桜堤の見頃時期には、周辺の花見名所も一斉に見頃を迎えているので、ぜひ周遊して楽しみたい。変わった所では、古河の花桃もオススメ。桜よりも一足先に満開になるので、早い時期から楽しめる。
●information
権現堂桜堤(県営権現堂4号公園)
開花情報
例年の見頃: 3月下旬~4月上旬
住所: 埼玉県幸手市大字内国府間887-3
アクセス: 東武鉄道幸手駅から五霞町役場行きバス15分、桜まつり会場下車すぐ
第3位 河口湖北岸の桜(山梨県南都留郡)
第3位は、河口湖北岸の桜。富士山と桜がコラボする場所は数多いが、河口湖までコラボする絶景が素晴らしい。秋には同様に紅葉と富士山と河口湖がコラボし、まさに絵葉書のような絶景だ。
特に写真撮影の名所になっているのが、湖山亭うぶや前バス停付近の「産屋ヶ崎の桜」と、サニーデ前長崎公園入口バス停から湖畔に向かった長崎公園の2カ所。その間の河口湖北岸一帯が、絶景の観光地になっている。
富士山と桜のコラボで、もう1カ所有名なのが新倉山浅間公園。富士山と桜に、五重塔に見える忠霊塔がコラボする、日本らしさを感じる絶景だ。開花時期も場所も近いので、あわせて花見しよう。
●information
富士・河口湖さくら祭り
開催期間: 2018年4月14日~4月22日
住所: 山梨県南都留郡富士河口湖町
アクセス: 富士急行河口湖駅から河口湖周遊レトロバス25分、猿まわし劇場木の花花美術館前下車すぐ
第2位 三春滝桜(福島県田村郡)
第2位は、三春滝桜。日本三大桜唯一のしだれ桜で、しだれ桜では日本最古。事実上、風格も見応えも日本一の一本桜で、まさに必見だ。その素晴らしさが広く知れ渡っているために、その混雑も尋常ではない。車を使って前日から時間差で行けるのであればベストだが、そうでなければ丸一日費やす覚悟が必要だ。
基本的に混雑が嫌いな筆者は、今回も極力混雑が激しくない桜の名所を推薦している。しかし、三春滝桜だけはどんなに混雑しようとも、オススメから除外するわけにはいかない。まさに別格で、一度は見ないと話にならない桜なのだ。
しかし、逆に言えば一度見れば十分で、こんな混雑何度も経験するべきではない。そして、一度見た人には「合戦場の桜」がオススメだ。三春滝桜の子孫の桜なので、その素質は十二分。むしろ若々しい美しさが素敵だ。三春滝桜のライトアップはLED照明で冷たい印象だが、合戦場の桜のライトアップは、電球色の暖色系のライトアップで、夜桜も必見だ。
●information
三春滝桜
例年の見頃: 4月中旬
住所: 福島県田村郡三春町大字滝字桜久保
アクセス: JR磐越東線三春駅から臨時バス「滝桜号」で約17分
第1位 弘前公園の桜(青森県弘前市)
第1位は、弘前公園の桜。日本三大桜名所と日本三大夜桜に唯一ダブル指定されている、名実ともに日本を代表する花見名所だ。中でも圧倒的に素晴らしいのが、写真の外堀の花筏。ピンク色の道路にしか見えないが、外堀の水面が桜の花びらで埋め尽くされているのだ。
こんなに散ったら、木に花が残っていないのではと思うほどだが、桜の木にも十分に花があるのが不思議。この点こそが弘前公園の桜の実力で、特産のりんごの剪定技術を応用して桜の手入れをしているので、桜が元気で花数が多いのだ。
桜の元気さは開花速度にも現れており、一日でも暖かい日があると、前の日が何分咲きだろうが、一気に満開になってしまう場合がある。よって、岩手の北上展勝地や秋田の角館といった東北三大桜名所を巡りながら北上したのでは間に合わない。しかし、遅れ気味で行けば花筏が見頃なので、遅れ気味で行くのも結果オーライといえる。
あわせて行きたい桜名所としては、第9位で紹介した世界一の桜並木があるが、標高が高くヤマザクラなので、あまり咲いていない場合も多い。その場合には、芦野公園がオススメ。桜の数は多くはないが、鉄道と桜のコラボを楽しめる珍しい花見名所だ。
●information
弘前さくらまつり
開催期間: 2018年4月21日~5月6日
住所: 青森県弘前市下白銀町1-1
アクセス: JR奥羽本線弘前駅から市役所行きバス15分、市役所前公園入口下車すぐ
桜の花見は春には毎年できるが、遠くまで旅行する元気がある内に花見をできる年数なら、大半の大人には数十年程度しか時間が残されていないのではなかろうか。日頃の忙しさを理由に、貴重な季節のイベントを見過ごしたのでは、人生に潤いがなくなってしまうに違いない。桜の儚さにかけて、一度しかない人生を楽しもうではないか。この記事を参考に今年こそ、過去最高の花見旅を実現していただきたい。