Appleは米国時間3月27日、シカゴでイベントを開催することを明らかにした。今回のイベント招待状には「Let’s Take A Field Trip」というタイトルが付けられており、教員や生徒のための創造的なアイディアをテーマとした旨が書かれている。

  • イベントの招待状

フィールドトリップは修学旅行を意味する英語であること、案内に「教員・学生」との言葉があることから、教育に関連したイベントであると予想される。

なお、既にアメリカは夏時間に入っているが、シカゴは中部にあたることから、イベント開始時刻はいつもの日本時間午前2時ではなく、3月28日午前0時の開始となる。

今回のイベントは、Appleのマーケティング上の重要なターゲットである教育市場に関して、抜本的な改革に取り組むかどうか、その踏み込み度合いが測られる重要性を持っている。その理由について考えていこう。

本題に入る前に、テクノロジー企業がなぜ、教育市場を重視するのかについて考えておきたい。理由はシンプルで、将来の顧客に早い段階でアプローチすることである。

例えば、教室の中へのプロダクトプレイスメント。長らく教育市場で強さを発揮してきたAppleのMacは、操作が簡単であることを重視してきた。これは教える側、学ぶ側にとって道具を覚えるコストを下げることはもちろんだが、成長過程で学びを支えてくれたシンプルな道具としてのブランドが確立されることが、より重要だった。

またGoogleは後述するが、無料で提供している教育向けGoogleアカウントを、卒業時に通常のGoogleアカウントに移行する機能を持っている。つまり、教育機関でGmailやGoogleカレンダーを使っていれば、ワンタッチで通常のGmailやGoogleカレンダーなどのアカウントへ変換できるのだ。

AppleがSwiftでのプログラミングを教育機関に導入する「Everyone Can Code」はより戦略的だ。教育機関のニーズである「簡単に導入できるプログラミング教育」をiPadで実現しつつ、Swiftに明るい人口を圧倒的に増やすことができる。Swiftが書けるエンジニアとは、iPhoneアプリ開発に携われる人材であることを意味しており、その層は将来のiPhoneのエコシステムを支えるアプリ開発者となるのだ。

ブランドだけでなく、より直接的に、未来の顧客を確保できる点で、教育市場は魅力的な存在となる。つまり、顧客の青田刈りをすることが、教育市場を確保する最大の動機、となる。