「表記」と「標記」の使い方と例文

  • 表記

表記

  • 「名前はカタカナ表記でお願いします」
  • 「明日必着で、表記の住所に郵送願います」

標記

  • 「では、標記の議題について討議したいと思います」
  • 「標記の件ですが、会場の都合により金曜日に変更致します」
  • 標題

ここで、「標記の件」という表現に注目してみましょう。例えば、ビジネスメールなどの件名に「新作メニュー試食会の日程変更の件」と書いてあるとします。続けて本文でも、「新作メニュー試食会の日程変更の件ですが、会場の都合により……」と書かれていたとするとどうでしょうか。忙しい中で目を通す場合には、文章が重複しているとイラッとしてしまう人も多いのでは? とりわけ簡潔さが求められるビジネスメールには、ふさわしくない表現と言えるでしょう。

そこで、「標記の件」の出番です。文中で件名に書いたことを再度書き記す代わりに「標記の件ですが、会場の都合により……」とすることで、簡潔かつスムーズに本題に入ることが出来ます。便利な表現なので、覚えておくと良いでしょう。


今回は、「表記」と「標記」の違いについてお話ししました。同音異義語は、使い方があやふやになりがちですが、漢字一つひとつが持つ意味を正しく理解していれば間違えることはありません。しかしながら、パソコンやスマホの普及で文字を書かなくなり、英語やカタカナのビジネス用語が多用されるようになった近年、私たち日本人は、日本語にうとくなっているように感じられます。外国語の習得も重要なスキルですが、日本人として、まずは正しい日本語の使い方を身に付けておきたいものですね。