▼点と点をつなげた「ハウリング」
――6トラック目はオリジナルの「それはきっとボクらしく生きる勇気」。
この楽曲は最初にキーを決める段階でまったく声が出ていなくて、歌えるのかなと思いましたね。AメロBメロでさえも声がひっくり返ってしまって、キーチェックで聴きなおしても嫌気がさしてしまうくらいの悲惨さで、絶望しかなかったです。歌詞を見ても「どうやったらこんなに前向きになれるんだろう」とずっと考えていたのを鮮明に覚えています。
――それをどうやって乗り越えたというか。
喉の治療もそうですけど、ボイストレーニングにも通い直しました。歌えるようになってはじめて、この曲の意味がわかった気がしましたね。最初のころは変に斜に構えて歌詞を読んで、素直に受け取れていなかったんです。逆に、この歌詞を見て、どうやったら後ろ向きに受け取れるのか、いまではわからないんですけど(笑)。自分のなかで未消化だったものや伝えたいものが歌詞のなかにあるんだなと気付いたんです。
――特に伝えたいフレーズは?
歌詞の最後に"証なんだ"と2回出てくるんですけど、最後の1回はラジオボイスっぽく加工しています。この曲のストーリー的に、はじめは一人ぼっちで部屋のすみでボソボソと歌っていたけど、多くの人の前で歌えるようになって、いろんな人の心に届くようになる。なので、最後はその場にいる人だけではなく、その場所を超えて、多くの人に届くような曲になってもらいたいなと思ったんです。最後をラジオボイスっぽくしたのは、映像的な話ですけど、自分が歌っている画面から視点が変わって、ぜんぜん知らない人の部屋でラジオから"証なんだ"って聞こえてくるといいなと。
――そういう意図があったんですね、腑に落ちました。そして最後の楽曲は「ハウリング」。
いつかkzさんに楽曲をお願いしたいと思っていて、今回オファーさせていただきました。打ち合わせで「いろいろなことがあるなかで、これから先に進んでいく力を感じてもらえるような楽曲が欲しい」とお伝えしました。究極のアコースティックが「声」だとしたら、その対極にあるエレクトリックな代表はEDM。その架け橋になってもらいたかったんです。
――そう考えるとタイトルの「ハウリング」というのも絶妙ですね。
マイナスなイメージのある言葉なんですけど、そこで裏をかいて、共鳴というプラスな力に変わっていく。実は、アルバムをつくるときは、楽曲それぞれが点だけで終わってしまわないかと不安になっていたんですけど、「ハウリング」によって、すべてが線でつながったなという気持ちになりました。どの楽曲にも共通して言えるのが「負けない力」というもの。「それはきっとボクらしく生きる勇気」にも"溜め息だって深呼吸"とあります。サウンド的にも「ハウリング」は「Colors of happiness―Rainbow Mix―」で使っているフューチャーベースを取り入れていますしね。
――そのすべてをつなぐ架け橋となった「ハウリング」ですが、こちらはレコーディングの順番的には。
最後でしたね。録っているときはその時期1番の、最高の状態なんですが、一カ月経つとまた更新されていく。今回のレコーディングは常にそのときのベストを記録に残していった感じですね。
――まさに「ハウリング」の歌詞にあるように"積み重ねてきた 一つ一つの音は 裏切らないから"のようです。
そうなんです。進化を遂げていて、言霊ってほんとうにあるんだなと思いました。
▼絶妙な作品『ポプテピピック』
――そしてミニアルバム『WILL』と同時に、写真集「Bambi」(ヴィレッジヴァンガード限定販売)、2018年度版カレンダーカレンダー、そして3月末からは初となる冠番組がスタートと、怒涛の新展開が発表されましたね。
今回の『WILL』は私の状況は関係なく、きっかけに過ぎないと思っています。「私こんなにがんばったの、見て」というアルバムではなく、真摯にいつも以上に時間をかけて、ていねいにつくったアルバムです。同じように、写真集や番組も、私がいつ復活するかもわからないのに、スタッフの方たちが積み上げてくれていたというのがあります。いろいろな方の想いが今回の4つの発表に込められていて……突然息を吹き返したように発表をしたんですけど(笑)。スタッフさん含めて、転んでもただでは起き上がらないのが牧野イズムですね。
――特に気になるのは冠番組ですが、「牧野由依の大人だっていいじゃない!青春laboratory」というタイトルで、テーマは「青春を取り戻す」。Twitterで収録の様子をアップしていましたけど、畳の上にジャージ姿で寝っ転がっていて、なんだこれはと(笑)。
実はあれ、お悩み相談なんです。
――えー!
相談って、面と向かって聞くと相手も構えてしまうじゃないですか。なので、お答えする側が構えず、いっそのこと雑に相談を受けてラフにアドバイスをしてみたら、「あれ? これだけで悩んでたけど……なーんだ! 大丈夫じゃん!」と思っていただけるかなと。そういった理由で、あんなことになっています(笑)。毎回、ゲストを呼ぶんですけど、番組名が「青春laboratory」なのでゲストと呼ばずにサンプルと読んでいます。そのサンプルがおすすめする青春を私に教えるという、冠番組でありつつも、とても楽ができるという内容になっています。
――第1回のサンプルは松嵜麗さん。どういった内容になるか楽しみですね。
はい。私自身が楽しめるといういうのもありつつ、サンプルのファンの方も、サンプルがどういう青春時代を過ごしていたのかを知ることができるんです。私は何も知らないフリをして、根掘り葉掘り引っ張り出していこうかなと思っています。
――松嵜さんといえば……というわけでもないんですけど、最近だと『ポプテピピック』で、牧野さんは渡部優衣さんとエンディングテーマを歌っていたじゃないですか。すごい組み合わせだなと。
そうなんです。優衣ちゃんとは『プリパラ』でも共演しているだけではなく、プライベートでも仲が良いので、また一緒にできるのはすごく嬉しかったです。でも、なんでこのふたりなんでしょうね。
――謎ですねえ。そして、松嵜さんは五十嵐裕美さんとエンディングテーマを担当していました。
なんの組み合わせなんでしょうねえ。面白かったのが、私は渡部優衣ちゃんと歌って、松嵜麗ちゃんは五十嵐裕美ちゃんと歌っている。みんな麗ちゃんのお友だちなんですよ。麗ちゃんを大好きな人たちが集まって歌っているねって話をしていました。作品に関して言うと、『ポプテピピック』が素敵なのは、同じ内容で、役者さんが変わることで、違う作品に見えるということと、「このふたりといえば」という連想ができるのがとても面白いですね。視聴者の方に考えるすきまを、心地よい絶妙なところからついてくるのが素晴らしい作品だなと感じました。
――でもエンディングテーマの組み合わせは。
わからないですね(笑)。
▼牧野由依 Mini Album『WILL』
発売日:3月21日
・初回限定盤(CD+DVD)
価格:3,241(税抜)
特典DVD
1.Making of 「What A Beautiful World―Studio Live Version―」
2.「Reset―A Cappella Version―」Special Movie
・通常盤(CD)
価格:2,315円(税抜)
CD収録内容
01.1.Reset―A Cappella Version―
02.song for you
03.ウイークエンド・ランデヴー
04.What A Beautiful World―Studio Live Version―
05.Colors of Happiness―Rainbow Mix―
06.それはきっとボクらしく生きる勇気
07.ハウリング
▼Mini Album『WILL』リリース記念スペシャルイベント
■3月25日@東京
会場:ららぽーと豊洲
時間:13時00分/15時00分
内容:ミニライブ&特典お渡し会
詳細は、インペリアルレコード内・牧野由依サイトまで
▼ヴィレッジヴァンガード限定写真集(ZINE)『Bambi』
発売日:2018年3月21日
価格:1,278円(税込1,380円)
取扱店舗:渋谷本店他、ヴィレッジヴァンガード全国主要店舗
牧野由依×四方あゆみ ZINE「Bambi」&牧野由依 Mini Album「WILL」発売記念イベント
日時:4月14日(土)18:00
会場:ヴィレッジヴァンガード渋谷本店 B2Fイベントスペース
内容:牧野由依×四方あゆみトークショー&特典お渡し会
特典内容:「Bambi」ポストカード(無くなり次第終了となります)
▼2days Live Concert 開催決定
日時:6月9日、10日
会場:AiiA 2.5 Theater Tokyo
チケット料金:全席指定 6,480円(税込)
一般発売日:4月21日
公式HP先行:3月24日12:00から4月1日23:59まで
詳細は牧野由依Official HPへ