インターネットイニシアティブ(IIJ)が、「フルMVNO」サービスの開始を発表した。まずは法人向けに提供開始し、2018年初夏には個人向けのサービスも始まるという。
フルMVNOでは、これまで大手キャリアに依存していた加入者管理機能を自社で持つことで、これまでにないSIMカードのビジネス活用が可能になるという。格安スマホで知られている従来のMVNOとは、どのように違うのだろうか。
「SIMライフサイクル」をコントロール可能に
格安スマホとともに認知度が高まったMVNOは、大手キャリアから通信の帯域を購入することでサービスを提供してきた。だが、システム面では多くの部分をNTTドコモを始めとする大手キャリアに依存しているのが実態だ。
IIJによる「フルMVNO」も、ドコモが全国に張り巡らせた基地局によるLTEや3Gのネットワークを利用する点は変わっていない。だが、加入者に電話番号を発行する機能を自社で持つなど、基地局以外はすべてコントロール可能になるのが最大の違いだという。
フルMVNOで大きく変わるのがSIMカードだ。これまでMVNOはドコモが1枚394円で発行したSIMカードを借り受け、毎月の回線維持費を支払ってきた。IIJによれば、全国のコンビニに10万枚のSIMカードを在庫として持つ場合、毎月1000〜1500万円の費用がかかるという。
しかしフルMVNOではIIJが独自にSIMカードを発行できるため、在庫費用を大きく削減できることになる。以前にSIMカードを雑誌の付録として配布したMVNOが話題になったが、コストが下がればこうした「ばら巻き」も再び可能になるというわけだ。