定期便購入額はネスカフェ アンバサダーの1.5倍
ネスレ日本・Eコマース本部のダイレクト&デジタル推進事業部で部長を務める津田匡保(まさやす)氏によれば、ネスレ日本では診断結果に基づき、同サービスを顧客各自の健康状態に合わせてパーソナライズしていく方針だとして、次のように話した。
「現状では、ウェブサイトで食事の内容などを尋ねるいくつかの質問に答えると、自分に最適なカプセルを提案してくれる仕組みとなっている」
「将来的に、よりパーソナライズしていくためには、個人の栄養とか健康状態、体の状態を知るデータが必要になる。そのためには、血液検査やDNA検査のようなものを使って提案をしていく必要がある。これが完成すると、人間ドックに行かなくても、会員になってさえいれば自分の健康状態が把握できて、そこに最適な飲み物が送られてくるようになる。そういう姿を目指して、いろいろな企業とアライアンスを検討している」
マシンを無料で借りて、家庭や職場に置いて「ネスレ ウェルネス 抹茶」などのカプセルを定期購入する「ネスレ ウェルネス アンバサダー」は、「ネスカフェ アンバサダー」の立ち上げ時を上回るペースで会員数を伸ばしているという。月間1万件のペースで応募があり、2017年10月に本格展開が始まった同サービスの会員数は、すでに6万人を超えているそうだ。
高岡CEOの見立てでは、会員数は「2020年までに25万人くらい」まで伸びる。コーヒーに比べると、抹茶カプセルを中心に供給する「ネスレ ウェルネス アンバサダー」は単価が高いビジネスなので、同サービスの規模拡大はネスレ日本の売り上げ増加に直結するだろう。ちなみに、「ネスカフェ アンバサダー」の会員数は2018年3月現在で40万人、2020年目標で70万人だ。
“意識低い系”には訴求できるか
では、実際に「ネスレ ウェルネス アンバサダー」は普及するのだろうか。すでに「ネスカフェ」を導入済みのオフィスが、追加料金を払うような感じで「ウェルネス」を導入するような流れとなれば、会員数の増加ペースは加速しそうだ。健康経営を打ち出す企業は、社員の健康管理に使えるツールの1つとして導入を検討するかもしれない。
ただ、「健康」は失うまで、その大切さに気づきにくいものでもある。自戒を込めていえば、自身の健康状態に根拠のない自信を持つ人は確実にいるし、そういう人に「ネスレ ウェルネス アンバサダー」を利用してもらうには、いくつものハードルがあるだろう。同サービスの利用条件は、1回あたり最低1箱以上のウェルネスカプセルを購入すること。価格は1箱1,458円~1,749円で、1杯あたりの単価で換算すると100円前後となる。
まずは、日常的にサプリを飲んでいたり、野菜ジュースを買っていたりするような、自身の健康状態に大なり小なり気を使っている人が、同サービスに関心を持ち、加入を検討することになりそうだ。健康面における“意識低い系”にまで「ネスレ ウェルネス アンバサダー」が広まれば、ネスレ日本は本当に日本の健康寿命を引き上げられるかもしれない。