KDDI 商品・CS統括本部 商品戦略部 商品1グループ 課長補佐の杉田 博司氏は、「スマートドローンは4G LTEであっても十分力を発揮する」と語る。今回の実験では、2Mbpsのスループットで動画を運行管理システムに送信したが、カメラ機材は4Kの動画撮影が当たり前になりつつあり、2020年には8Kも視野に入る。

KDDIは5Gを、2020年に商用スタートする見込みだが、それに合わせたスマートドローンの高度化も以前から強く打ち出している。5Gが実現する「大容量」「低遅延」「多接続」という三大メリットは、いずれもドローンを運用する上で重要な鍵だ。ではなぜ4Gでもと杉田氏は語るのか。

  • 3月8日に行われた防災訓練でも、5Gの特徴を活かした災害時のスマートドローンの未来を提案していた

当然ながら、これまで3Gや4G LTEが歩んできた道と同じく、5Gはそのエリア整備に時間がかかる。2012年にスタートした4G LTEであれば、そのエリア性を存分に活かせるし、高解像度やリアルタイム性が求められない現場であれば、「監視環境を用意する」という大前提さえクリアできれば実用に耐えるというイメージだろう。

むしろドローンに足りない要素はバッテリーだ。この日の実証実験では、「十分にデモンストレーションできる時間」として10分飛行できる機体で臨んだ。落下の恐れがないように、40%の残量を残してということだが、産業用ドローンの多くは現状で長くても30分が限度の機体が多い。

「今回のような複数機運用を実際に行う場合、例えば数万m2の敷地であれば1機の俯瞰ドローンと4機の巡回ドローンの5機×2セットの10機といった運用が考えられる」(セコム関係者)というように、しばらくはバッテリー問題が残る見込み。電気自動車でも、パナソニックとトヨタが車載電池開発で協業するように、ドローン分野でも電池のブレイクスルーが求められそうだ。