ASUS(エイスース)が、赤坂にショップを出店した。ASUSといえば、往年のパソコンファンなら、マザーボードやグラフィックカードといった、自作向けパーツをイメージする方も多いだろう。
だが、このリアル店舗ではそうした自作用パーツではなく、完成されたノートPCや一体型デスクトップPC、スマートフォンなどをメインに扱う。このリアルショップの開店は何を意味するのだろうか。ASUS会長のジョニー・シー氏に話をうかがった。
まずは軽くASUSの日本での動きを振り返ってみよう。やはりASUSの名が知れわたったのは90年代から2000年代初めに訪れた自作PCブームだと思う。ゲームやインターネット端末、テレビ録画パソコンといった、多様な使い方に合わすため自作パソコンを作った、あるいはタワー型、スリムタワー型、キューブ型といった好みの筐体を使いたいがため、マシンを組んだという人も多いだろう。
自作パーツだけでなく完成品にも力を入れる
だが、徐々に自作PCブームは下火になっていく。余談だが、筆者は自作PCなどを取り上げるパソコン雑誌に所属していた。以前は自作PCで特集を組めば雑誌の売れ行きはよかったのだが、いつのまにか読者に受けなくなり、休刊した。
ASUSは、もちろん今もPCパーツのトップブランドだ。だが、自作PCが衰退していくなか、いち早く新たな戦略を打ち出したのを憶えている。そのうちのひとつがUMPC(ウルトラ・モバイルPC)と呼ばれる「Eee PC」だろう。以降、自作パーツだけではなく、完成品にも力を入れるようになった。
そして、ランボルギーニとコラボレーションしたハイスペックノートPCや、モビリティ性能に優れた「ZenBook」などを投入。パーツ以外の完成品も積極的に投入してきた。今回、赤坂にリアルショップを開店したのは、その流れをくんでいるといえる。