――高槻さんと共演されたHEART隊員の方々はみな個性豊かでしたね。隊員のみなさんの中で、リーダーシップを取っている方はどなただったのですか。

ウエマツ隊員役の影丸茂樹さんでしたね。口数の多い方ではなく、率先して何かやるというタイプではなかったのですが、ちょっとまわりが騒がしいなと思われたとき、口に指をあてて「シーッ」とかね(笑)。行動を開始するときに「行くぞ!」とか、部分部分できっちり締めてくださるところがありました。

――ミナト隊長役の嶋田久作さんは、それまで個性的な悪役を演じることが多かったと思うのですが、若い隊員たちを束ねる人格者というべき隊長役を人情味たっぷりに演じられていました。

嶋田さんはとても気の優しい方でしたね。同じころ『さくや妖怪伝』で悪役(似鳥周造役)を演じられていて、『ネオス』の現場だと「僕なんかが隊長でいいのかな~」なんて、ちょっとネガティブな発言をされていて、オチャメなところがありましたよ(笑)。

――ミナト隊長を父親として、HEARTのチームにはどこかアットホームなムードを感じました。第3話のエンディングで、隊長に寿司をごちそうしてもらおうとする隊員たちのくだりなんて、楽しかったですね。

あそこなんて、ほとんどがアドリブで芝居していたシーンですよ。チームの仲の良さをアピールしてほしいという高野敏幸監督からの要請でね。こういうシーンでは、影丸さんが率先して「私はサビ抜きで」とか言っちゃうんですよ(笑)。影丸さんは『ウルトラマンティガ』でもレギュラーで隊員(シンジョウ隊員役)を演じられていましたから、キャラクターが被ってしまわないよう気をつけているとおっしゃっていました。

特撮ならではの撮影秘話も

――特撮作品に付き物といいますか、実際には目の前にいない怪獣に対してリアクションをしたり、合成を前提とした芝居をしたりといった部分について、難しかったことはありましたか。

それは確かにありましたね。何もないところを見上げて「怪獣だ!」と言わなければいけない。最初は戸惑いました(笑)。助監督さんが長い棒の先に布を巻きつけて、「ここの先端を見てください~」って。隊員のみんなが同じ方向を見上げなければおかしいですからね。ああ、こうやって怪獣映画は撮られているんだなって、初めて理解しましたよ。合成については、オープニング映像の時点でいきなり経験しました。カグラが宇宙空間を漂流するカットは、身体にハーネスを装着した上から衣裳を着て、グリーンバックの前で吊されているんです。カメラチェンジの際にもずっと吊されたままなので、付け根の部分がだんだん痛くなってきて困ったのを覚えています。

――九州ロケ編(第7~9話)のひとつ、第9話「僕らの恐竜コースター」で高槻さんは、怪獣キングダイナスの吐く火炎弾の爆発をかいくぐるという危険なアクションシーンに挑戦されていますね。

そうなんです。あれは全部自分で演じていますからね。あの爆発の熱風がすごくて、「熱ッ!」っていいながら走っていました。実際に熱かったので、あそこのカグラのリアクションは演技ではないんです(笑)。

――さすがはウルトラマンの俳優さんだけあって、危険なシーンの撮影は避けられないというところでしょうか。撮影時のハプニング的な出来事などもたくさんあったのではないですか。

第7話「生態系の王」で、ナナ隊員とカグラが並んで銃を撃つカットがあるんですけれど、ナナ役の瑠川あつこさんの銃に手違いで火薬が多く入っていたらしく、僕のすぐ側でとんでもない音が響いて、驚いてNGを出したことがありました。他にも、撮影時のエピソード、思い出はたくさんありますね。