そのメリットですが、スマホの側から見ると筐体の気密性を高められるので、スマホ本体の中に水やホコリ、またはそれ以外の機器に悪さをする異物が侵入するリスクが避けられます。またアナログイヤホン端子に関わる基板上の回路が簡略化できることで、本体のエッジがよりスリムにできたり、デザインの自由度も高まります。
さらにオーディオ的な観点から見ると、デジタル接続では、左右チャンネルの音声信号が互いに干渉し合うことによって発生するクロストークノイズの影響を少なく抑えることができるので、ステレオ再生の分離感が明瞭度を増して、音場の立体感も高まると言われています。
この効果はハイレゾ再生の時だけでなく、SpotifyやGoogle Playミュージックなどの定額制音楽配信を聴く時、またはYouTube動画やゲームの音を楽しむ時にも表れてきます。
デメリットは「使い勝手」の部分
反対にデメリットとしては、主にスマホとイヤホンの使い勝手の部分に出てくることが考えられます。まずiPhoneの場合も良く言われている「音楽を聴きながらスマホが充電できなくなる問題」があります。
iPhoneの場合はパイオニアから発売されているLightning接続のイヤホン「RAYZ Plus」のようにiPhoneを充電しながらの音楽リスニングや通話に対応する製品が発売されています。USB Type-C版のRAYZ Plusのような製品が出てくることを期待しましょう。
音楽プレーヤー型の接続端子がUSBになると、飛行機に乗ったときに同じイヤホンを機内エンターテインメントに接続できなくなります。今回ソニーモバイルから発表されたSBH90CにはUSBから3.5mmアナログイヤホン端子に変換するためのアダプタは付属していません。そのようなアクセサリーが今後サードパーティーなどから製品化されるのか注目です。
バッテリーの減りも速くなる?
またデジタル接続のイヤホンは内蔵するDACやアンプを動かすためのバッテリーが必要なので、これをUSBで接続しているスマホのバッテリーから給電することになります。そうなると音楽を聴くほどにスマホのバッテリーが速く消費されることにならないのでしょうか。
ソニーモバイルのSBH90CはXperiaからUSB経由で充電できるユニークな機能を備えています。開発担当者に聞いてみたところ、イヤホンのバッテリーがゼロの状態で接続して100%まで充電しても、Xperiaのバッテリーは3%ほどしか減らないそうです。ただ、これは再生するコンテンツによっても変わってくるでしょうし、SBH90C以外のイヤホン・ヘッドホンが出てきた時に試してみる必要がありそうです。