最大のアピールポイントとなったカメラ

だがディスプレイ以上に、多くのメーカーが新機種のアピールポイントに据えていたのがカメラだ。ハイエンドからミドルクラスのモデルまで、人気機能であるカメラを最大の差異化ポイントとしてうたう傾向は着実に強まっているようだ。

昨年までは2眼カメラが大きな差異化要素となっていたが、現状ミドルクラスのモデル以上であれば、2眼カメラが搭載されるのは当たり前となりつつある。それゆえ各社とも、カメラに関する新たな差異化ポイントの模索を始めているようだ。

その新たな差異化ポイントの1つとなりそうなのが、1秒間に960コマの撮影ができるスーパースローモーション撮影だ。この機能はソニーモバイルコミュニケーションズが昨年のMobile World Congressで発表した「Xperia XZ Premium」で既に実現しているものだが、今回のMobile World Congressでは、ソニーモバイルだけでなく最大手のサムスン電子が、「Galaxy S9」「Galaxy S9+」でスーパースローモーション撮影を採用。フォロワーが現れたことで、ソニーモバイル以外の採用が急速に進む可能性が考えられそうだ。

  • スマートフォン最大手であるサムスンの「Galaxy S9」がスーパースローモーション撮影をフォローしたことで、今後この機能を採用するスマートフォンは増えると考えられる

そしてもう1つは、カメラとARを活用したコミュニケーション機能だ。こちらも既に、iPhone Xの「Animoji」などで実現しているものだが、ZenFone 5は同様の機能である「ZeniMoji」を、Galaxy S9は自分の顔を3Dアバターに変換し、スタンプなどに活用する「AR Emoji」を提供するなどフォロワーが増加。ソニーモバイルの新機種「Xperia XZ2」も、人物の顔などを3Dスキャンする「3Dクリエーター」を、インカメラでも使えるようにするなど、より簡単に自分の顔を活用した楽しいコミュニケーションを実現できるようになってきている。

  • ARと顔を活用してコミュニケーションを楽しくする機能を搭載する機種は増えており、Galaxy S9の「AR Emoji」は自分の顔を写真に撮影してスタンプなどに活用できる

だが、カメラ機能に関する技術でやはり他を上回っていると感じさせるのは、やはりイメージセンサー最大手のソニーのリソースをふんだんに活用できるソニーモバイルだ。同社のXperia XZ2は、イメージセンサーこそ前機種の「Xperia XZ1」と大きく変わっていないものの、新たにプロ用カメラに匹敵する4K HDR動画の撮影に対応したほか、スーパースローモーション動画の撮影も、HD画質だけでなくフルHD画質での撮影ができるようになるなど、一方上を行くカメラ機能を実現している。

また同社は未だに2眼カメラを採用していない数少ないスマートフォンメーカーだが、今回のMobile World Congressに合わせて、2眼カメラモジュールと画像融合処理プロセッサーを用いることにより、静止画撮影時にISO51200、動画撮影時にISO12800という超高感度を実現するカメラ技術を披露している。特に動画撮影時は感度を高めるのが難しかっただけに、この技術が大いに役立つと考えられる。スマートフォンの販売は落ち込んでいるソニーモバイルだが、カメラ技術に関しては当面高い優位性を保つことになりそうだ。

  • 2眼カメラの搭載では大きく出遅れているソニーモバイルだが、2眼カメラを活用し、暗い場所でも明るく動画撮影ができる超高感度カメラスマートフォンの開発を進めているという