撮影現場でも里奈?「怖いと言われます(笑)」
――里奈の夫役で共演する中村倫也さんは「まりかちゃんと夫婦2人で視聴者に嫌われようかと(笑)」とコメントされていましたね。そんな中村さん演じる夫の渡は、里奈に対してモラハラやDVを繰り返すかなり怖い役ですが、現場での様子をお聞かせください。
中村さんは現場では本当に優しい方なので、演技で彼のことを嫌いと思うのがなかなか難しいです(笑)。彼はたぶん、普段と役とがかけ離れても演じられる方だと思うんですけど、今回の里奈に関して私はそうは出来なくて。すべての感覚や細胞に里奈のエッセンスを入れ込んで、自分が松本まりかなのか、里奈なのかの境界線をあまりつくらないようにしています。だから里奈な感じで人と接するのがちょっと怖いという(笑)。純平さん役の塚本さんに現場でも、「すごいかっこいい」とか「今日も愛してます」とか言っているんですけど、「怖い、怖い」と言われますね(笑)。
――里奈のエッセンス入れるために、役作りの部分でされてることはありますか?
正直私自身はあんまりないんです。原作を読んで土台だけで。里奈は共演者とスタッフの方によってこそ作り上げられていると私は思うんです。脚本、メイク、衣装、照明、音声、カメラアングル、編集、そういった全スタッフの総合演出によってこの里奈になってる。その上で私は監督と彼女の心理、常軌を逸した行為について、どういう風に見せるかを常に話し合っています。あとは里奈のあざと具合については1話目のときにプロデューサーさんとしっかりお話ししました(笑)。
――第1話というと、純平との濡れ場シーンが大きな反響を呼びました。かなり大胆なシーンでしたよね。
監督がものすごく美しく官能的に撮りたい、印象に残るものにしたいとおっしゃっていました。私もあまり嘘はないほうがいいと思うし、そっちのほうが皆さんの心に刺さるなと、共感しましたね。ただあまり隠してないというか、裸という自分の見せたくないところも見せてるわけです。コンプレックスな部分も露わにしているんですけど、この作品にとっては必要なことだしそっちのほうが面白いと思えたので、途中から恥ずかしさはなかったですね。
最近、不倫する役がちょっと多い
――そういった体当たりの演技もこなす松本さんが、そもそも女優を目指したきっかけはなんだったのでしょうか?
中学の時に原宿でスカウトされてこの世界に入った後、オーディションに受かって初めて出演した連続ドラマが『六番目の小夜子』(NHK教育・00年)という作品でした。その時にやった役がポジション的に今回と似ていて、少し悪い子というか物語をかき回すような役だったんです。それがすごく面白くって、女優さんになりたいなと思って今に至るという感じですね。
――数年前には静岡県民ならだれもが知っている『コンコルド』のCMにも出演されていました。このCMも不倫をしているような役でしたね。
あれも里奈と似てますよね(笑)。『コンコルド』のCMを手掛けている山内(ケンジ)さんが私をものすごく分かってくださっていて、当て書きなんです。なんか最近、不倫する役がちょっと多いんですけど、たぶん私に不倫をやらせたらなんか笑えるのか、分からないですが(笑)。
――山内さんが主宰する演劇ユニット「城山羊の会」の作品にも何本か出演されていますよね。(13年『効率の優先』、15年『水仙の花 narcissus』)
そうですそうです。今回のドラマも、プロデューサーさんが山内さんの作品に出てる私をご覧になったのがひとつのきっかけとなって、オファーを頂いたみたいです。見ててくれたんだなとすごくうれしかったです。
――ではそういったこれまでの経験が回り回って、今の「当たり役」と呼べる里奈に出会えたということなんですね。
本当にそうですね。今回の役は、環境も含め、全てが運命的な出会いだなと感じながら演じていますね。
――それでは最後にドラマの見どころをお聞かせください!
里奈はどこまでも諦めないですし、どんな悪事でも自分が欲しいと思ったものは絶対手に入れるバイタリティがあります。その凄まじさを面白がって見てもらえたらと思います。仲さんが主軸の存在感でどっしりといて下さってるので、他のキャラクターみんなが思いっきり弾けられているし、ストーリーも相当突き抜けてて本当に面白いです。まだまだ皆さんの予想を裏切り、楽しんでもらえると思いますので、楽しみにしていてください!