日産にも立派なクルマと思わせたい?
2年前に燃費不正問題が発覚し、三菱自動車はブランドイメージに大きな傷を負った。同社は2017年10月に発表した中期経営計画「DRIVE FOR GROWTH」において、「信頼回復に最優先で取り組み、V字回復軌道に乗せて、持続的成長の土台をしっかり作ること」(益子CEO)を掲げるが、その鍵を握るのが商品刷新計画であり、第一弾となるのがエクリプス クロスなのだ。
燃費不正問題の発覚を受けて三菱自動車の社内では、何が問題だったかを追求すること(過去を振り返ること)と新しいクルマを開発すること(前に進むこと)という、互いに相反する2つの課題に同時並行で取り組んだと振り返った益子CEOは、「開発、生産の苦労は大変だっただろう」と述懐する。それだけに、エクリプス クロスには特別な愛着があり、中期経営計画の達成を引っ張ってくれるものとの期待を抱いているという。
新車が登場しなかった4年間の間に、三菱自動車は日産自動車との資本提携も経験している。エクリプス クロスは、見方によっては三菱自動車が単独で企画・開発した最後のクルマと考えることもできる。日産との資本提携後に世に出る宿命を負ったクルマだったので、「日産にも、立派なクルマだといってもらわなければならないという強い思い」(益子CEO)が三菱自動車にはあったという。
SUV、4輪制御、電動化が三菱自動車の方向性
エクリプス クロスから始まる三菱自動車の商品刷新計画。今後について益子CEOは、まずプラグインハイブリッSUVの「アウトランダーPHEV」を刷新して今年の夏頃に投入し、その後は発売から50周年を迎える「デリカD:5」をモデルチェンジするとの計画を提示した。
車種が多く、取り組むクルマの焦点が絞りきれなかったと過去の三菱自動車を振り返った益子CEOは、今後のクルマ作りについて「SUVと4輪制御に重点的に取り組んで大きな柱とし、そこに電動車両を組み合わせるという明確な方針」のもとに進めると宣言。エクリプス クロスについても、早期にプラグインハイブリッドモデルを投入したいと話していた。