従来よりも小型軽量化しつつ、画質や撮影性能は高めた。撮像素子は、最新のEOS Kissと同じ有効2410万画素のAPS-C型CMOSセンサーだが、画像処理エンジンを最新のDIGIC 8に変更することで、拡張時の感度をISO51200まで向上した。
オートフォーカスも進化した。測距点を143点に増やしつつ測距可能エリアを幅88×高さ100%の範囲に拡大することで、被写体が端のほうにあってもピント合わせできるようにした(一部レンズの装着時は測距点とエリアが縮小)。シリーズで初めて、人物の瞳にピントを合わせる瞳AFに対応し、より印象的な人物撮影ができるようになった。ファインダーや液晶を見ながら画面をドラッグすることでAF枠を移動するタッチ&ドラッグAFにも対応する。
ファインダー撮影時と液晶を見ながらのライブビュー撮影でオートフォーカスや連写の速度が変わってしまう一眼レフのEOS Kissシリーズと異なり、EOS Kiss Mはライブビューでもフルに性能を発揮できるようになった。背面液晶は3型のバリアングル式で、EVFは236万ドットの高精細タイプを採用する。
写真の雰囲気を変えて撮れるクリエイティブアシストは、画面右下のアイコンから簡単に呼び出せるようにした。フィルターの種類の選択も、スマホに似たユーザーインターフェイスにした。
動画撮影は、新たに4K画質(24p)に対応。さらに、撮影した4K動画から静止画を切り出す4Kフレーム切り出し機能も備えた。ただ、センサー中央部の画素を切り出して撮影する仕組みのため、写真撮影よりも望遠寄りの画角になってしまうことと、デュアルピクセルCMOS AFは働かずコントラストAFのみとなる点は留意点といえる。
スマホ連携は、撮影すると写真をスマホに自動送信する機能を新たに追加。わざわざスマホに保存する作業を省き、あたかもスマホで撮影した写真のように扱えるようにした。
手ぶれ補正も改良している。ライブビューで撮像素子が得た情報をもとにブレの量を検知し、手ぶれ補正対応レンズの補正機構を制御することで、従来よりも補正能力を0.5段分高めた。従来通り、ボディー内手ぶれ補正は搭載しない。
RAW記録は、新たにCR3形式のフォーマットに対応した。データ容量を抑えたい場合に使うC-RAWは、画像サイズが通常のRAW記録と変わらないようにしつつ、カメラ内RAW現像に対応できるようにした。
キヤノンマーケティングジャパンによると、ミラーレス一眼のラインアップとしてはEOS M5とEOS M6が上位機種で、EOS Kiss Mはその下に位置するエントリーモデルという扱いになる。だが、性能や画質はほぼEOS Kiss Mが上回っている。価格次第ではあるが、EOSシリーズのミラーレスを選ぶならEOS Kiss Mがベターな選択になりそうだ。
主な仕様は以下の通り。
- レンズマウント:キヤノンEF-Mマウント
- 撮像素子:APS-C型CMOSセンサー(有効2410万画素)
- ボディー内手ぶれ補正:なし
- 画像処理エンジン:DIGIC 8
- 対応感度:ISO100~25600(拡張時はISO100~51200)
- シャッター速度:最高1/4000秒
- 動画:4K(3840×2160ドット、24p)
- ファインダー:電子ビューファインダー(0.39型、236万ドット)
- 液晶モニター:3型(約104万ドット、バリアングル式、タッチパネル)
- 無線LAN:IEEE802.11b/g/n対応
- バッテリー撮影枚数:約235枚
- サイズ:W116×H88.1×D58.7mm
- 重さ:約387g (ブラックモデル、バッテリーとSDカード含む)