――そんな状況から、ダイエットに踏み切ったきっかけは何だったのでしょうか?
やっぱり大きかったのは、ダイエットに成功したら本を出版できるっていう、今後の人生であるか分からない大きなチャンスを、名前も知られない売れない芸人にくださったことですね。こんな機会、芸歴2年目の芸人には絶対ないと思ったので、この企画がなかったら、途中で心が折れてやめていたと思います。
今回の企画は、他の芸人さんに当たらず、餅田さん1本で提案しました。かわいい子がダイエット企画の番組に参加して、すごい頑張っている姿を見て、これはやってみたい!と思ってお声がけさせていただきました。
――しかし、カトパンという美人アナウンサーに顔が似ていながら、首から下が全然違うというギャップが1つの売りだったのに、ダイエットはそのキャラクターを崩すことになるわけじゃないですか。そこに葛藤はなかったんですか?
はい、めちゃくちゃ葛藤ありました。こういうキャラクターなので、もともとあった仕事も食レポが多かですし、キンタロー。さんが率いる太った女芸人ユニット(SBK48)にも入っているのに「痩せてってどうするの」みたいな重圧もありましたし…。そういう迷いがあって結構落ち込んで、泣いた日も多かったですけど、最終的に本の出版という目標があったので、なんとか頑張れました。
――自らの芸風を変えるくらいの意気込みだったんですね。
そうですね。これからもずっと葛藤はあると思うんですけど、今は痩せてきれいになったらまた違う道もあるしって考えたりもしますが…でも、まだそこはモヤモヤしてる部分ですね。難しいところです。
隕石でも落ちてこないかなと思った
――詳しくは本に書いてありますが、今回は主にどんなダイエットをしたんですか?
基本的に肉をメインで食べて、後は卵とチーズを食べるという「MEC食」(Meat・Egg・Cheese)です。炭水化物や糖質は抜いて、コシヒカリという芸名なんですが、米離れしました。トレーニングはジムに通って、外出からの帰り道も遠回りして少しでも有酸素運動を心がけるようにしましたね。
――パーソナルトレーナーはついていたんですか?
いや、いないです。自分でレッスン受けたりとか、ジムにいるトレーナーの人に相談しながら、自分で「今日はこれやろう」「明日はこれやろう」って決めてトレーニングしていましたね。
――毎日の体重を誰かに報告することは?
それも自分で記録していました。だから甘えちゃう部分もあったし、信州そばを見つけて食べちゃったりして、その時は「あーもう、ほんとダメだぁ」と思って、落ち込んだりもしましたね。
――他人に管理されず、自分の意思でやるというのは、なかなかできることではないですよね。
そこは結構きつかったんですけど、だんだん体が動くようになってくると、「もうちょっと、もうちょっと」ってなるんですよね。それと、ジムに入る人ってみんな意識が高くて、マッチョな人が声出しながらベンチプレス上げてたりしている中で、太った自分がすごく惨めになって、ここにいる人たち以上に頑張らないと痩せない!と奮い立たせてたという感じです。
――性格がストイックなんですね。
いや、ストイックでこんな体形にならないです(笑)。よく言われるんですけど、負けず嫌いなんですよね。
――芸人さんだと、飲みのお誘いも多いんじゃないですか?
一応肉食ダイエットなので、食べられるものは何かしらあるんです。全部ピザだった時はちょっとゾッとしましたけど、その時は上に乗ってるチーズをつまんだりしてましたね。キツいっちゃキツいですけど、食べるものがあったらそんなに苦痛ではないですし、しゃべっていれば時間は過ぎるので。
――アルバイトをされている居酒屋はどんなお店なんですか?
焼き鳥屋だったので、そこも助かりました。MEC食は、鶏皮とか結構脂質が高いものでも大丈夫なんです。
――4カ月にわたるダイエットでは、体重がなかなか落ちない「停滞期」もあったそうですね。このときは大変だったのでは?
本当に、隕石でも落ちてこないかなと思いました(笑)。そうすれば、半年くらいは期間が伸びるかなと思って。虚しくなって基本泣いてましたし、家でボーっと1人でいると、ガムテープで封印した炊飯器を見て、「これは何のために家にあるんだよ…」としゃべりかけていたりもしました。
――かなり精神的に追い詰められていたんですね。このダイエット期間に支えになってくれた方はいましたか?
マネージャーさんとバイト先でいつも一緒にいる女の子ですね。その子はバレエをやっててすごい細くて顔もかわいくてモテるタイプなんですが、私が痩せたら着たいと思って買ったタイトスカートを軽々履きやがって、本当にこの野郎と思ったんですけど、いつも「食べちゃダメ」って言ってくれたので、まかないを食べ過ぎずに何とか頑張れました。