昨年12月21日に放送された『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ)の名物コーナー「博士と助手 細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」で、強烈なインパクトを残した芸人がいた。フリーアナウンサーの"カトパン"こと加藤綾子のものまねで登場した餅田コシヒカリ。顔はカトパン似であるものの、首から下が肥大化という奇跡の体形で、そのギャップにスタジオは爆笑に包まれたが、実はその時、彼女はあるミッションに挑んでいた。
それは、ずばり"ダイエット"。「15kg以上痩せたらダイエット日記を書籍化」という条件を課せられると、昨年9月から今年1月で、体重は87kgから65kg(-22kg)と見事に目標を達成した。公約どおり、『4ヵ月でここまで痩せました! 餅田コシヒカリのダイエット日記』(ぴあ刊)が、2月28日に発売されることが決定した餅田に、減量生活の苦労から人知れぬ葛藤、人となりまで、でっぷりと話を聞いた――。
カトパン本人は存在を認識か
――痩せられたからか、より一層似てきましたね! いつ頃からカトパンさんに似ていると気付いたんですか?
高校時代は言われたことがなくて、専門学校時代に、友人とかに言われたくらいでした。その時も、頻繁には言われなかったんですけど、芸人の養成所に入ったとき、マネージャの方から「ものまねやりなよ。カトパンに似てるんじゃない?」とアドバイスをいただいて、なんとなくやり始めたんです。声は真逆ですごい太いんで、一切出さないですけど(笑)
――「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」での登場が衝撃でした。カトパンさんに似てるアングルのまま階段を降りてくるのが、最高でした(笑)
最初は、普通に階段を降りて、高橋真麻さんのまねをしているキンタロー。さんとちょっと絡んで穴に落ちるというネタだったんですけど、本番当日に固定アングルのまま階段を降りるという形に変えたんです。それが良かったみたいで、すごいウケました!
――反響はすごかったのではないでしょうか。
そうですね。Twitterのフォロワーさんはすごく増えましたし、街で「カトパンの人ですか?」と声をかけられることも多くなりました。居酒屋でバイトしてるんですけど、お客さんと近い距離で話したりするんで、お会計のときに「もしかして、芸人さんでカトパンのものまねでテレビ出てますよね」と言われるようにもなりました。本当に環境が変わりました!
――「カトパンさんですか?」とは言われないんですね。
そうですね…。カトパンさんと間違えられることはないです(笑)
――カトパン本人とお会いしたことはあるんですか?
それがないんですよ! 芸人になって1年目のとき、フジテレビでカトパンさんが司会をやってる番組出させていただいたんですけど、その日だけお休みだったんです。他にも、収録場所が同じ建物で、他の人は「いたよー」って言ってるのに会えなかったり…。『ホンマでっか!?TV』のスタッフさんにお会いして「似てるね」と言ってもらったことはあるんですけど、本人はまだないので、今年こそ会いたいです! 並ぶのはおこがましいので、ほんの一瞬だけすれ違うだけでも。
――本人は、餅田さんがまねをしていること認識されてるんですか?
うちのマネージャーが、カトパンさんのマネージャーさんから「怒ってないよ」っていう話を聞いたらしいので、たぶん存在は知ってもらってるんじゃないかな…と思います。
女優志望も気付いたら松竹芸能に
――あとはお会いして公認をもらうだけですね。ところで、「餅田コシヒカリ」という芸名は、炭水化物大好きな感じでとても良いなと思うのですが、由来はなんですか?
本名が持田ひかりで、友人がふざけて「餅田コシヒカリ」って言ったのが最初だと思います。それが記憶に残っていたので、インパクトのある芸名にしようと思って、養成所に入った時に「餅田コシヒカリでやってもいいですか?」ってお願いしました。そしたら、それから仕事がポンポン決まるようになったので、この芸名はすごく気に入ってます。
――宮城県出身だそうですが、ササニシキじゃなくてコシヒカリに魂を売ったんですね。
そこはいつもツッコまれてヒヤッとするんですけど、コシヒカリも皆さんに愛されてるお米なので、「コシヒカリのようにいろんな人に愛されたい」という思いも込めているんですよ!
――めちゃくちゃ後付けっぽいんですが…
いや、本当ですって! 私の中で一応あるんですよ、ポリシーが。
――他に似てると言われる人はいらっしゃいますか?
写真の世界では田中みな実さんですね。次、ちょっと狙ってます(笑)
――ん~、個人的にはフジテレビの久代萌美アナウンサーにも似ている気が…。ところで、芸人さんになろうと思ったきっかけは何ですか?
本当は女優になりたくて、専門学校にも通っていて、そこで声をかけてもらったのが松竹芸能だったんです。「芸人から女優に行った人もいるから大丈夫だよ」って誘導されて、気付いたら松竹の養成所に入ったんですけど、その時に『一週間フレンズ。』という映画に出させてもらったんですよ。本当にチョイ役だったんですけど、それで「本当に芸人から女優になれるんだ!」と確信して、思いっきり振り切って芸人やってる感じです。
――そしたら、クラスで笑わせるような子じゃなかったんですか?
どちらかと言うと、一応ムードメーカーっぽい感じだったと思うんですけど、ウケと狙うとか、ボケとかツッコミとかいうのはやったことがなかったので、芸人になりたての頃はそういうやり取りに疎くて、つらかったですね。
――地元の同級生は驚いたでしょうね。
はい、あんまり周囲に言わずに東京に出てきたので、ポンと出たテレビ番組が放送されると「芸人だったの!?」って、みんなからすごいビックリされました。
――失礼ですが、学生時代の体形はどうだったんですか?
太ってました。体重は今より軽かったんですけど、足が骨太ですごい太いので、それで太って見えていたのかもしれません。イスに座るたび、「自分の足太いなぁ」って思っていましたね。
――何かスポーツはやられていたんですか?
小学2年生から中学3年生まで、ずっとバレーボールをやってました。それで下半身が太くなったのかもしれないです。
靴ひも結ぶのにリアルゴールドで休憩
――そこから、さらに大きくなっていくんですね。
芸人になったときに、「体形が中途半端だ」ってダメ出しされたんです。そこから、もっと太るか、痩せるかのどっちに行こうかと思ったときに、ダイエットのやる気はなかったので、すごく食べるようになったら、MAXで93kgまで行きました。
――身長は149cmですよね!? 生活にも支障が出るレベルでは…?
階段は1回踊り場で休んでましたね。靴ひもを結ぶときに、かがむのが本当にキツいので、リアルゴールドを飲んで休憩しながら結んだりとかしてました(笑)。足の爪を切ることも忘れてましたし、かがむという動作をしたくないので、靴下を履くのは基本寝ながら。運動すると、胸がすぐドクドクする感じでした。
――松竹の先輩に当たる安田大サーカスのHIROさんは脳出血で命も危なかったですから、周囲からも心配されたのではないでしょうか?
マネージャーさんには、「太り過ぎると笑えないデブになる」「病気になったら終わりだからな」と言われていました。HIROさんは、リバウンドを繰り返して体に負担がかかってしまったと思うんですけど、私も2年間で10kg単位のリバウンドをしていたので、先輩芸人の皆さんからも、"次の危ない人"になっていました。