Apple Watchはスマートウォッチとして、スマートフォンでは取得できない細かい体の動きを計測しつつ、手首を返すだけで様々な情報を確認し、簡単なタップや音声入力でスマートフォンでこなしていた一部の作業を行える。
また、セルラーモデルの登場によって、Apple Watchだけを身につけて出かけ、AirPodsでストリーミング音楽を楽しんだり、音声通話の着信やメッセージへの返信にも対応できるようになった。
Apple WatchはApple Payにも対応しており、3年間に米国でも店頭決済のNFC対応が進んだ結果、地元のスーパーや、レストラン、カフェ、銀行のATMに至るまで、Apple Watchだけで支払いができ、財布や現金とは無縁の生活に近づいた。
加えて、新たな役割として、健康管理機能が追加されようとしている。
Apple Watchはテクノロジーと人間の接点で活躍するデバイスであり、そこで何が必要か、何ができるかが積極的に試されている真っ最中だ。ただし、サードパーティーのアプリよりは、Appleのサービスがより多くの部分を開拓していくという状況は、今後も続いていくだろう。そして、Apple WatchはiPhoneでしか利用できない点で、iPhoneとユーザーをより密接に結びつける役割を、今後も担っていくことになる。
Appleのスマートフォン市場全体のシェアは、販売台数トップを獲得した2017年第4四半期(10〜12月)でも20%に届いていない。今後スマートフォン市場が縮小していく中で、iPhoneをより長く使い続けてもらう1つの要素として、Apple Watchは作用していくことになるだろう。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura