購入者の約7割が新規顧客だった「カリフォルニア」

「カリフォルニア」と後継の「カリフォルニアT」は、購入者の約7割が新規顧客だったというから、新しい顧客とフェラーリの関係を構築するという役目を十分に果たしたことになる。フェラーリ・ジャパン&コリア代表取締役社長のリノ・デパオリ氏によれば、日本は「カリフォルニア」が世界で最も成功した市場の1つだったそう。フェラーリ・ジャパンに聞くと、日本でも購入者の7割近くが新規顧客だったという。

  • フェラーリ「カリフォルニアT」の外観

    これが「カリフォルニアT」だ

ポルトフィーノは今後も順調に日本で新規顧客を開拓し続けられるのか。ここで気になるのは、フェラーリが年に何万台も売れるクルマでもなければ、欲しいと思ったからといって誰もが買えるようなクルマでもないことだ。

例えば、いつかはフェラーリに乗ってみたいと昔から考えていて、ここ数年の間に何らかの成功を収めたような人がいたとするならば、すでにカリフォルニアかカリフォルニアTを購入していてもおかしくない。カリフォルニアが日本で発売となったのは2009年だというから、この間、フェラーリの潜在的な新規顧客にカリフォルニアおよびカリフォルニアTが、ある程度は行き渡ってしまっている可能性はないのだろうか。

  • フェラーリのクネヒテル氏とデパオリ氏

    話を聞いたディーター・クネヒテル氏(左)とリノ・デパオリ氏

「カリフォルニアT」から進化した部分とは

「新規顧客にも既存顧客にも、ポルトフィーノで訴求できると思う」。先程の疑問に対する答えとして、デパオリ社長は楽観的な見通しを示した。同氏によれば、新規顧客はパフォーマンス(走り)がフェラーリの特徴であると認めつつも、より多用途性や快適な乗り心地を重視する傾向にあるとのこと。この「versatility」(多用途であること)こそカリフォルニアが成功を収めた理由であり、その観点で見た場合、ポルトフィーノはカリフォルニアよりも新規顧客に訴求できるクルマだとする。

また、ポルトフィーノはカリフォルニアに比べ、よりスポーティーな外観を獲得しているともデパオリ社長は語った。この部分は既存のフェラーリオーナーにも響くのではというのが同氏の考えだ。

  • フェラーリ「ポルトフィーノ」の外観

    念のためお伝えしておくと、このクルマはデュアルクラッチ・トランスミッション(DCT)を採用しているのでオートマ車(AT)の一種だ

ポルトフィーノは新規と既存の双方の顧客に訴求可能なクルマだが、カリフォルニアシリーズで多くの新しい顧客を獲得できた現状を踏まえると、ポルトフィーノ購入者の新規顧客と既存顧客の内訳はカリフォルニアほど片寄らず、「たぶん、50:50というような感じになるのでは」というのがデパオリ社長の予想だ。カリフォルニアシリーズに乗っている人が、ポルトフィーノに乗り換えるケースも出てくるだろうと同氏は見通す。

つまり、日本には新たにフェラーリオーナーとなり得る人がまだまだいるし(あるいは現れるし)、すでにフェラーリを持っている人がポルトフィーノを買うケースも十分に考えられるというのがデパオリ社長の見立てだ。フェラーリ・ジャパンによれば、既存のフェラーリオーナーがセカンドカーとしてポルトフィーノを購入し、日々の「通勤に使う」ようなケースも考えられるとのことだった。