ポートレートに最適な大口径の中望遠レンズ
まず使ったのは、中望遠の「M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO」です。外形寸法は最大径70×全長84.9mmで、質量は410g。F1.2シリーズに共通の仕様として防塵・防滴・耐低温に対応し、高品位な外装や手触りのいいフォーカスリングを備えています。35mm判換算の焦点距離は90mm相当。ポートレート用にうってつけの1本といえます。
下の4点は左上から順に、F1.2、F2、F4、F8で撮影したもの。開放値のF1.2では、ディテールまで精密に再現しつつ、背景はとろけるようにぼけ、被写体が浮かび上がるような描写となりました。そして、絞り込むと結像部分の解像はさらに高まります。
レンズの設計においては一般的に、やわらかいボケを重視すると結像部分のシャープネスが損なわれやすく、逆に解像を重視すればボケがうるさくなる傾向があります。しかし本レンズでは、背景をスムーズにぼかしつつ、被写体はシャープに写り、まさにボケと高解像をバランスよく両立できています。
次のカットでも開放値を使うことで背景を整理し、人物のみを強調できました。操作面では、ほぼ無音でスムーズに作動するAFに好印象。狙いどおりのタイミングで撮影できました。
ボケの量だけでなく、ボケの出方にも注目です。ピントが合った面からアウトフォーカス面にかけて、徐々ににじんでいくような自然なボケであり、ざわついた印象はありません。
下のカットは、水滴が水桶に落ち、その瞬間にできたウォータークラウンをシャッター速度1/1250秒で捉えたもの。F1.2という開放値の明るさは、ボケ表現だけでなく、薄暗い場所でも高速シャッターが使えるという利点があります。
最短の撮影距離は0.5mで、最大撮影倍率は0.1倍 (35mm判換算0.2倍相当)。ポートレート撮影の際、顔の一部や手の表情などをクローズアップで強調することもできます。用途としてはやはりポートレートに絶好ですが、風景の一部分を切り取るような感覚で街中のスナップを撮るのも結構楽しく感じました。