Fusionの大きな特徴といえるのが新機能「OverCapture」だ。撮影した全天球動画からHD画質の16:9動画を切り出す機能で、文字で表現するだけでは目新しさを感じないかもしれない。OverCaptureがユニークなのが、切り出しにパソコンや編集ソフトを使う必要はなく、全天球動画を再生しながらスマホを動かせば切り出せること。スマホはジャイロセンサーを搭載しており、向きや角度に応じて表示する部分が変わる。この仕組みを利用し、スマホに表示された部分をそのままHD動画として記録するのだ。

切り出しの方法はきわめて簡単。Fusionで撮影した全天球動画をいったんスマホに保存し、再生すればよい。この際、画面の端に録画ボタンが表示されるので、これをタップすればOverCaptureでの切り出しが始まり、再度タップすれば終了する仕組み。動画編集の経験がまったくない人でも、きわめて直感的に切り出しができる。

  • スマホに保存したFusionの全天球動画を再生しているところ。端の録画ボタンをタップするとOverCaptureでの切り出しが始まる

  • スマホを天井に向けるとその方向の動画が表示され、画面に表示された内容がそのまま動画として切り出される仕組み

  • スマホを床に向ければ、足下の様子が記録される

Fusionで撮影できる全天球動画は、解像度を重視した5.2k/30fpsか、なめらかさを重視した3k/60fpsのいずれかから選べる。OverCaptureで切り出せる16:9比率の動画は、5.2k/30fpsでの撮影だとフルHD画質(1080p)、3k/60fpsではHD画質(720p)になる。

  • FusionのOverCaptureで切り出した動画。撮影した全天球動画を再生しながらスマホを上下左右に動かすだけで、きわめて直感的に動画が切り出せるのが面白い。撮影時には気づかなかった新たな発見もある

フレーミングを気にせず動画が撮れ、撮影に縛られずに済む

OverCaptureが備わるFusionならば、被写体にカメラを向けたり構図を決めるフレーミングが必要なくなり、FusionをFusion Gripに装着してざっくりと撮るだけでよい。常に全方位を撮影しているのでお目当ての被写体を撮り逃す心配がないだけでなく、撮影時には気づかなかった決定的瞬間をキャッチできていることもあるのが魅力的だ。同じ全天球動画に対して何度でもOverCaptureの切り出しができるので、試すたびに新しい発見が生まれるのもポイントといえる。

カメラの所有者が撮影から解放されるのも、Fusionの大きな魅力といえる。旅行やレジャーに出かけたり、運動会などのイベントに参加したのに、撮影に専念するあまりイベント自体を楽しめなかった…ということはよくある。Fusionならば、三脚の状態にしたFusion Gripに据えて撮影しておけばよいので、撮影に縛られることなく家族や知人とイベントを楽しめるだけでなく、自分自身の様子もしっかり残せる。

  • 三脚の状態にしたFusion GripにFusionを据えて撮影状態にしておけば、カメラに縛られることなくお目当てのシーンが撮影できる

GoProは「撮影。後から発見」をFusionのうたい文句にし、一般的なシングルレンズのカメラやほかの全天球カメラとの違いを押し出す。アクティブに動き回るアウトドアスポーツを楽しむ人だけでなく、「一般的なカメラでは思ったように撮影できない」「撮影に手間をかけたくない」と考える人にもヒットしそうだ。日本での販売価格がどれぐらいになるか、注目したい。

  • 「撮影。後から発見。」というキャッチコピーからも、FusionはOverCaptureを最大の売りにしていることが分かる