人気アクションカム「HERO」シリーズで知られる米GoProが、同社初の全天球カメラ「Fusion」を投入する。多くの全天球カメラと同様に360度の全天球写真や全天球動画が撮影できるが、GoProが強くアピールするのが撮影した全天球動画を再生しながら好きなアングルのHD動画を切り出す新機能「OverCapture」だ。Fusionでの撮影中は周囲すべてを記録するため、一般的なカメラのようにフレーミングや撮影に気を取られる必要がないうえ、動画編集のスキルがなくても撮りたかった動画が直感的に切り出せるのが特徴。「撮影時はフレーミングに集中、やり直しは利かない」というカメラの常識を変えてしまうFusionの特徴的な機能を、4月の発売前に試してみた。

  • GoProが4月に国内で販売を開始する全天球アクションカム「Fusion」。国内での販売価格は未定とのこと

自撮り棒を消して自然な処理にできる

Fusionは、本体の前面と背面にそれぞれカメラを搭載しており、360度の範囲を一度に記録できる全天球カメラだ。それぞれのレンズは、180度を上回る広い領域が撮影できる構造になっており、つなぎ合わせの処理を工夫することで、手にしたFusion Grip(自撮り棒)の存在をほぼ消せるのが目を引く。

  • Fusionの前面。HEROシリーズと似た情報表示パネルをレンズの横に搭載する

  • Fusionの背面。基本的に表裏は気にせず撮影できる

  • 真上から見ると、レンズは左右対称になっていないのが分かる

  • 三脚としても使えるFusion Gripが標準で付属する。伸縮できる構造になっており、伸ばすほど自撮り棒の存在を消しやすい

  • Fusionで渋谷のスクランブル交差点を撮影したところ。撮影者の手は確認できるが、自撮り棒はうまく消えている

  • リトルプラネットの表示にしたところ。撮影者は大きく描写されるが、自撮り棒の存在はほとんど分からない

機構的には、リコーの「THETA」シリーズや、Insta360の「Insta360 ONE」などと同じジャンルの製品だが、特徴的なのがアクションカム「HERO」シリーズと同等の防水・耐衝撃性能を備えていること。水しぶきがかかったり、自転車などに装着して強い振動が加わったりしても壊れる心配がないので、これまでの全天球カメラでは撮影をためらってしまうようなシーンでも積極的に撮影に臨める。

  • Fusionは全天球カメラながら、アクションカムのHEROシリーズ並みのタフネス性能を備える

Fusionは、強力な電子式手ぶれ補正機能を搭載し、見苦しい動画の揺れを大幅に減らせるようにしたのもポイントだ。動画が激しく揺れると見る気が失せてしまうが、Fusionは揺れを低減するスタビライザーを装着したかのようななめらかな仕上がりになる。