メルチャリは成功できるか

メルチャリの描くシェアサイクルの姿は画期的だが、そこには課題がある。

この種のビジネスは利用料が低く、1台あたり1日の利用回数を上げることで収益を確保する。メルチャリでは1分4円。30分使用しても売上は120円にしかならない。

収益を上げるには1台あたり1日の利用回数を上げる必要があるが、住宅街まで踏み込むことで1日当たりの利用回数は減り、適材適所にシェアサイクルがないといった可能性も出てくる。街中よりも人通りの少ない住宅に自転車が置かれても利用されにくい。街中での移動のみに限定したほうが収益的にもいいはずだ。

また、個人宅や店舗の軒先などのスペース活用についても、街中でのサービスが増え、多くの人に認知されて盛り上がっていくことで、協力者が増えていくと思われる。

もちろん、運営元自体もこれらのリスクについては認識している。だからこそ、松本代表からは実証実験という言葉が出てくるわけだ。

住宅地であっても、どのエリアならビジネス上も問題ないのか。そもそも個人の力を借りて運営することが本当にできるのか。個人の力を借りるためにリワードは十分なのか。様々な観点から個人参加型サービスが成立するかを試していく必要があるのだ。

当面の目標として、ポート数を開始当初の50カ所から今夏までに200カ所へ(個人宅・店舗の軒先を除く)、自転車を開始当初の200台から今夏までに2000台へと増やしていく。これらの数値は決して少ないものではない。今年いっぱいでどれだけ理想に近づけるか。実証実験の行方次第でメルカリらしさを本領発揮できるかどうかが見えてきそうだ。