著名企業の参入表明が連なり2017年から注目を集め始めたシェアサイクル事業。メルカリのシェアサイクル「メルチャリ」が今月27日から福岡市内で始まることが宣言された。そもそも、なぜ福岡市で始めるのか。事業として成功できるのだろうか。
なぜ福岡市でサービスインなのか
メルチャリが福岡市でサービスを始める理由。ざっくりと言えば、現時点の事業の位置づけ、持ちうるリソースなど、トータルして福岡が最適なエリアと判断したからに過ぎない。
まずは運営元の主張に耳を傾けてみよう。メルカリ子会社でメルチャリの運営を担うソウゾウの松本龍祐代表によると4つの理由があるという。
1つ目はメルカリのカスタマーサポート拠点が福岡にあり、これをメルチャリにも活用できると考えたことだ。
2つ目が自転車に適したフラットな地形だったこと。実はこれが初期投資にかかる費用を大きく抑えることを可能とする。坂道の多いエリアになると電動アシスト自転車のほうがサービスを展開には向いているが、通常の自転車よりも1台あたりのコストは嵩む。少なくとも倍、3倍以上高くなると見てもいいかもしれない。
メルチャリではサービス開始当初は200台、今夏までに2000台でのサービス提供を予定しており、自転車だけで数千万円の初期投資が必要になる。電動アシストでなくともサービスインが可能なエリアとして福岡市となったのは大きな理由となりそうだ。
先の2つはリソースの問題、残る2つは利用想定と関わる。3つ目の理由として福岡市の中心街が博多駅周辺、天神と分かれており、ここをつなぐ移動手段としてサービス利用が見込まれるからだ。4つ目が公共交通手段の発達したエリアにおいて、ラストワンマイルとも言うべきリーチが自転車の活用で可能になると見ているからだ。
メルチャリでは、1回の利用時間が15分程度を利用想定のメインにしている。長距離の移動ではなく、公共交通機関では行きにくい場所への移動だ。具体的には、公共交通機関では行きにくかったラーメン屋に自転車を使って気軽に行くなどといったことができるようになる。サービス提供エリアのどこにいても、すぐに駐輪ポートが見つかり、ちょっとした場所へなら気軽に移動できる、そんな利用をイメージしている。
こうした短時間利用タイプのシェアサイクルが現在話題となっており、ドコモ・バイクシェアやモバイクが提供するサービスと同種のものだ。人口が多い福岡市は、ビジネス展開の上でもマッチした土地柄のようだ。