実はフラワー業界は長いこと硬直してきた。硬直というと聞こえは悪いが、要は長期間一定の水準で売り上げがあり、生花店はおのおので「街のビジネス」として成り立ってきた。ただ、この状況がいつまでも続くとは限らない。たとえば冠婚葬祭。一昔前はこうした際には生花が多く飾れることが多かったが、今ではその習慣も下火になりつつあるという。

協議会設立で消費拡大・需要喚起を目指す

こうした現状から、生花の消費拡大・需要喚起・プロモーションを行うとして、花の国日本協議会(FJC)が立ち上げられた。これまで、個々の小売店の取り組みに寄ってきた生花業界に、大型のプロモーションを仕掛けるという組織だ。

その最たるプロモーションが「フラワーバレンタイン」。これは2月14日に感謝を伝えたい相手、好意を表したい相手に花を贈ろうというものだ。そもそも日本のバレンタインデーは、女性から男性にチョコレートを贈るという慣習が染みついているが、これは製菓メーカーが仕掛けたことだ。海外では男性が女性にフラワーを贈呈するというのが一般的。もちろん、女性から贈っても問題はない。

FJCによると、近年、花を贈る習慣が日本でも根付いてきているという。特にバレンタインデーに限らずとも、過去1年以内に花を贈ったという男性は、4年前に比べ3倍に増えているという。「花を贈るなんてキザだ」という過去の考えが薄れてきた証拠だろう。なお、FJCではフラワーバレンタインのイメージキャラクターに“キングカズ”こと、三浦知良氏を起用している。男性ファンも多い三浦氏ならPRに最適だろう。

さて、この記事のため銀座三越1Fにある第一園芸を訪れたが、取材中、多数の男性が花を求めに来店していた。花を贈る習慣が根付き始めたのは間違いなさそうだ。