エンジンの小ささは気になるものの…

ちょっと意外だったのはエンジンで、ランボルギーニ初のターボ付きとなるそれは、4LのV型8気筒と小さい。6.5LのV12エンジンを背負って運んでいるような走りのアヴェンタドールを知る者としては残念に思った。

でも、ウルスを買うユーザーの多くは、そんなことは気にしないだろう。現にポルシェのカイエンやマカンは、911が50年以上搭載し続けてきた水平対向6気筒エンジンではないが、大部分のユーザーはその点を問題視していない。

  • 「ウルス」エンジンルームの画像

    エンジンは小さいと感じたが、「ウルス」の購入者が気にするかどうかは別の話だ

大事なのは、個々のエンジニアリングがどうかではなく、デザイン、パフォーマンス、ドライビングエモーションなど、ブランドとしてのDNAが備わっているかどうかなのである。

販売台数2倍の野心的な目標に不可欠な存在

たしかに性能は凄い。最高出力は650hp、最大トルクは850Nmで、後者についてはアヴェンタドールを上回る。

全長5,112mm、全幅2,016mm、全高1,638mmという巨体でありながら、車両重量は2.2トン未満と軽量化に気を配ったおかげもあり、時速100キロまでの加速は3.6秒、最高速度は305キロと、世界最速SUVであることをアピールした。

4WDのみならず4WS(4輪操舵システム)も備え、トルクべクタリング、エアサスペンション、アクティブスタビライザー、カーボンセラミックブレーキなどのハイテクもあますところなく装備。エゴモードと名付けられた個別設定も可能なドライブモード・セレクター「タンブーロ」も用意している。

価格は2,580万円。同等のボディサイズを持つアウディのSUV「Q7」の約2.5倍だが、ウラカンとは同等である。しかもウルスは、ウラカンとは違い5人が乗れてゴルフバッグも積める。

  • 「ウルス」インパネの画像
  • 「ウルス」荷室の画像
  • 先進技術も満載の「ウルス」。荷室(画像右)にはゴルフバッグも積める

今回の発表会には、イタリアからステファノ・ドメニカリCEOも来日した。かつてフェラーリF1チームの代表も務めたドメニカリ氏は、日本はランボルギーニにとって米国に次ぐ世界第2位のマーケットであると紹介。世界レベルでは、これから2年間で販売台数を2倍にしたいと表明した。

スーパーカーだけでは、この数字は達成不可能だろう。ランボルギーニのようなブランドも、今やビジネスが大事なのである。マニア以外にもアピールできるSUVが登場したからこそ成長が期待できるし、ウルスが売れて開発資金が増えれば、スーパーカーの進化にも拍車が掛かる。