ただし肝心のプレミアム路線も、ユーザーに響いているかと言えば、かなり微妙だ。2017年、ここのところ「退屈」と言っていいスマホのデザインに大きな変化があった。
アップルが有機ELディスプレイを採用し、ホームボタンをなくして、筐体のほとんどがディスプレイという「iPhone X」を投入してきた。同様のコンセプトは、すでにサムスン電子「Galaxy S8」「Galaxy Note8」や、ファーウェイ「Mate 10 Pro」、LGエレクトロニクス「V30+」なども採用している。
有機ELディスプレイは、業界のハイエンドモデルではすっかり「標準採用」になった。そしてまた、ソニーが強みと言ってはばからないカメラにおいても、iPhoneが2016年から導入した「デュアルカメラ」が当たり前になってしまった。iPhoneもAndroidスマホの後追いで導入したデュアルカメラだが、ソニーはさらに遅れてしまっている状況だ。
他社のハイエンドスマホが軒並み「有機ELディスプレイ」「デュアルカメラ」のなかで、ソニー「Xperia」という存在は、いまだに数年前のデザインテイスト、そして機能面でも過去を引きずっており、周回遅れにさえ感じてしまう。
今年1月、「モバイル事業をどうしていくつもりなのか」と聞かれた現社長の平井氏は、次のように語っていた。
「ソニーの将来を語る上で、スマホはコミュニケーションビジネスだと思っている。人間同士、テレパシーで会話ができるようになるまでは、コミュニケーションするためになんらかのデバイスとネットワークが必要だ。昔はケータイだったが今はスマホ。これがウェアラブルに取って代わるのかわからないが、いずれパラダイムシフトが来る。そのパラダイムシフトを作るぐらいの気持ちでいる」(平井氏)
2月末にはモバイル製品の展示会「MWC 2018」がスペイン・バルセロナで行われ、例年通りであれば新製品が発表される。そして直後の4月には、平井氏が会長となり、吉田体制に代わる。吉田新社長は、Xperiaでどのようなパラダイムシフトを作っていくのか。Xperiaブランドの命運がかかっている。